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episode8〜セダリア〜

たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。

ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。

暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。




今となっては、ピアノはナナの活力とも言える。


その日も朝から少しピアノに触れてから、温室の方へと足を運んでいた。


ナナの気配に気が付いたセダリアが、いつもの笑みを向けて言う。


「おはよう。ナナ。今日も朝から弾いてきたの?」


「おはようございます。セダさん! はい… もう日課になっちゃってますよね… でも、朝からピアノの音を聞くと、始まりの気を上げる事が出来ている気がして… あっ! やっぱり朝からだとうるさいですかね!?」


(一応、朝に合うような曲選んでるんだけど… )


「ふふ… ううん、そんなことはないよ? ナナは知らないかもだけど、君の音色はここにいる皆の源になってる。元気になれるんだ」


「え… 元気に?」


「そうだよ。それに、あまり外には漏れないように、確かナナが使う数日前に防音工事をっ… 」


そう言いながら、言ってはまずかったと言うように、セダリアはその口を覆った。


「ん? 私が使う数日前… にですか? あれ? でも、確か、あの部屋は何年も前からピアノの置いてある部屋だったんですよね?」


ナナは何かを勘繰るように、セダリアに尋ねた。


「フフフフフ… ほらぁ… もうすぐ例の行事が来るよ! 忙しくなるから、覚悟しといてねっ!」


そう言いながら、セダリアはナナに特大のウィンクを放った。


(怪しい。話逸らしたな… )


「その例の行事って何ですか?」


「年に一度に行われる大きな行事だよ! それに今年は例年に比べて、かなり盛大になると思うんだよねぇ。だからすごい忙し… 」


「え、えと… 無知で申し訳ないのですか… その行事とは?」


「あぁそうか。ナナは初めてだったね! 2ヶ月後に、我がリリック殿下の誕生パーティーが執り行われるんだ。しかも今年は18の歳になる。成人の儀もあるからねぇ」


「そうなんですね! 成人になるんですね? それはおめでた… い… え? 18歳!? リリック殿下って18歳なんですか!?」


「え? あ、うん、そうだけど… 」


「… 意外と若い」


「え!? あ… 」


「あ、いえ! べ、別にリリック殿下が老けて見えるとか、決してそういうわけじゃっ… 」


ナナの慌てる素振りに、大きく笑い出すセダリア。


「ははっ… 確かにっ… あの表情と態度だっ! 確かに… ふふっ… 若くは見えないけど… ふふふふっ… 」


「そんなに笑ったら失礼ですよっ! 聞かれでもしたら、今度こそ首が飛… 」


「あ… 」


セダリアの視線は目の前のナナを通り越して、少し遠く斜め上を見ていた。


それに気が付いたナナは、首が捥げる程に、その方へと回した。


2階窓から、こちら側に向けた姿があった。

それはそれはとても冷たく、鋭かった。

目線だけで、首が飛ぶとさえも感じたくらいだった。


(ま、まずい… これは… )


「あぁあ、見られちゃったね」


「聞かれましたかね… え? 聞かれましたよね? どどどどうし… 」


「大丈夫だよ、ふふ、大丈夫大丈夫」


(一体、何を持って!?)


そして、その窓を恐る恐る再度振り返るナナ。


その姿は既にそこにはなくなっていた。

その嫌な気配だけを残して。


そして、その場から過ぎ去るように仕事へと就くナナ。


「あの… セダさんは、リリック殿下と親しい間柄なんですか? さっきの事もそうですし、それにこの前も思ったんですけど… 殿下の事、あ、あいつって言っていたような… 」


ナナは少し声を顰めて、そう尋ねた。


(それに温室であの人達が、セダさんの事を見て… あの時の反応も気になるし)


「あぁ… そうか。そうだね、言ってなかったね。僕はね、リリック殿下の従兄弟に当たるんだ」


「え… ?」


(待って… )


「現国王の兄が僕の父さんで… 父さんは国王になってから間もなくして、亡くなっちゃってるんだけど… 」


(ねぇ… ちょっと待って… )


「一応リリック殿下の3つ歳上だよ? ふふふん、自慢じゃないけど、意外と若く見ら… 」


「ちょっ、ちょっと待って下さい!」


「ん?」


「お父様が… 元国王?」


「うん、そうだよ」


(うん、そうだよ… うん、そうだよ… うん、そうだよ… )


ナナはその言葉が鼓膜を通して、脳内へとこだました。


意識を振り起こし、最後まで聞こうと決意した。


「つ、つまり王族?」


「う… ん」


(そういう大事な事は、先に言えよ! 首飛ぶ可能性あるじゃん!)


ナナの顔色が、段々と青ざめていくのがわかる。


「く、国の継承者って事… ですか?」


「あ、いや、それに関しては…  ’元’ になるかな? 王位継承は放棄しているからね。本当は、王族の地位も退きたかったくらいなんだけど… リリィが怒ってねぇ。あの剣幕と言ったら、超怖かったよぉ… 」


(何を呑気に… 調子狂うわぁ)


そう思いながら、ナナはセダリアを要注意人物に指定した。


「ねぇ? それよりさ、ナナの新しい部屋はどう?」


「え? 部屋ですか? あそこは私の部屋ってわけではないのですが… 」


「ん? あれ? 違うの? だってリリィに用意してもらったんでしょ? そこで生活してるんじゃ… 」


「待って下さい。リリック様がが私に?」


(こりゃ、はっきり言ってないな? あいつ。それに彼女自身も自覚がない… となると)


「今度遊びに行っちゃおうかな?」


「え? え? 師匠が?」


「師匠?」


「え? はい。私の庭師としての師匠… それに… 」


「それに?」


「お、恩人でもあります」


「ふふ… ふふふふふふ」


「え?」


「恩人か… ふふ、でも名前で呼んで欲しいなぁ」


「あ、はい! セ、セダさんがそうおっしゃるなら」


そう言いながら、嬉しそうにも複雑な感情を露わにし、その手をナナの頭へと優しく伸ばした。


「で? 遊びに行ってもいいの?」


「え? は、はい! それはもちろんです! それに何度も言いますが、私の部屋ではありませんので… 確かに少し羽根を伸ばさせてもらっていますが… 」


「じゃあいつでも良いんだ?」


「え? はい、いつでも… ?」


「ふふ」


「?」


ナナは、その意図がわからずにいた。






最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


今回、冒頭でナナが朝から日課となってきているピアノを弾くところから始まります。

その際にイメージして書いた曲は、

水野あつ(feat.可不)さんの、【信じる事が怖い】

です。

とても良い曲なので、合わせて聴いてみてくれると嬉しいです。

(基本歌は歌っていません)


今後、作者が聞きながら執筆した楽曲をその都度、参考までに載せておきます。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。

あまり、ボーカロイド音楽を聴いた事がないので、何かオススメなのがあれば、メッセージ等下さると嬉しいです。(ピアノの旋律がある物だと尚、嬉しいです)

文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。

また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。

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