episode64〜心臓〜
たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。
ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。
暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。
「… 何かを試している?」
ナナがつい、漏らしてしまったその言葉に、疑問符を投げるリリック。
「ナナ? 急にどうした? 一体何を試してるって言うんだ?」
ナナはその涙を拭い、真っ直ぐにリリックへと視線を流した。
「リリック様、これも私の憶測に過ぎませんが… もしかすると、私を試していたのかもしれません。言わば実験台ですね。
何でも良いから曲を弾かせたかった。
それはどれでも良かった。
途中で途切れても、他の世界へと飛ばせばいいだけ。
完奏すれば、全てを終わらせられる。
あの男からしたら、何が起こるのかを確かめる事ができる。何より、モグラによって私が絶対音感を持っていることを知っていたので…
そして、私は後者になったわけです」
「ん? ナナ?」
その言動に、違和感を感じたリリック。
しかし、その言葉に反応を示すこともなく、ナナは考えを続けた。
「しかし、前者に関して男はおそらく、何回かその瞬間を目撃しているはずです。後者となった私はとても貴重な、いや初めての人物だったかと思います。
完奏したのちの、状況を知る事ができる好機が目の前に現れたのですから。
残念ながら、ピアノにも私にも何も変化が起きなかったので、非常に驚き、嘆く結果となってしまった。でも… 本人はそれで良かったかもしれない… 」
(本人…?)
「しかし、男は楽譜に関しては特に触れてませんでした。私自身も、誘拐されたその状況で冷静でなかったこともあります。ピアノにしか目が入ってなかったですし。
今思えば、あの楽譜に関して、何故何も言ってこなかったのか、疑問な所ですが…
そして、ピアノに耳を押し当て、何かを確認するような仕草をしておりました。
まるで… 何かの… 心臓の音を確認するかのように」
「ナナ… 先程から、ナナ以外に二人の人物像が話の脈絡から見えてくるんだが… 」
「はい… そうです… 何となくですが… 試されているのは私だけでは無いのだと思います。
私と誘拐犯の男です。そして、試しているのが、ピアノ… おそらく、意思を持っているのでは無いかと… 」
(意思だと?)
「そして心臓は… 私が持っていたのは、心臓だったのです。ピアノは、心臓を探しているのでは無いでしょうか?」
ナナが淡々と話すその様子に、驚きを隠せないリリック。
「でももうそれも… ない… 私があの時、何も知らずに手放してしまったから…
あの林檎はピアノの一部。だから、世界を行き来する事ができた。おそらく、あの林檎が鍵となったのは確かでしょう」
「信じ… られない。ピアノは、それを終わらせたかったと言うのか?」
「そうですね。終わらせたかった… と言うよりは、心臓を取り戻して、普通のピアノに戻りたかったのではないでしょうか? この譜面が完璧に弾ける者を探して、彷徨って… それで、この無意味な通路を無くしたかった。
それによって、犠牲者が何人も出ている事はわかっていたから。
でも… これも全て、憶測に過ぎませんが… 弾いていた私が感じた事は少なからず、こう感じました」
「ナナ… その林檎は何処で手放した? 今は… 」
「え? あ、いや、血が付いていたし、こちらの世界に来た時に捨てましたよ?」
「どこだ!?」
「パルティシオン国の… 確か城壁近くの芝生? いや、でももうあれは何ヶ月も前の話ですし、絶対に腐ってると思っ… 」
その腕を急に引っ張られた衝撃で、ナナは一瞬首が持っていかれそうになった。
「えっ!? ちょっ… 」
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
(基本歌は歌っていません)
あくまでも、作者が聞きながら想像し、執筆した楽曲を参考までに載せております。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。
文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。
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