episode52〜からくり部屋〜
たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。
本日2回目の投稿です。
ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。
暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。
ナナの部屋にある、2つの鏡の壁。
それは、隣の部屋からも見える特殊な壁になっていた。
内側からは分からないが、両側の部屋からは丸見えだった。
ナナはこの事を後で知り、恥ずかしさで顔が爆発しそうになった。
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ナナは、その男からある条件を出されていた。
『その曲を完璧に弾く事が出来たら、この部屋を出ても構わない』
ナナはその言葉に、素直に応じるという選択をした。
弾く義理はなかったが、一応拘束されたという事実がここにある限り、あまり反抗的な事はしない方と判断した為だった。
裏に誰が控えているか分からない。
男が目線を送った方の部屋に、本当にセダリアがいるかも分からない。
ましてや無事なのかも分からない。
何もかもが不安なこの状況で、応じる他なかった。
もっとも、その要望はナナにとっては容易い事だったからだ。
もちろん次の一発で、それを完璧に仕上げたナナ。
しかし、男は満足するどころか、落胆するような表情となっていた。
(あれ? あってたはず… )
そう思いながら、ナナはゆっくりと歩み出した。
男は、ナナの行動に気が付いてはいた。
それよりも自身の考えていた計画がここで一旦、リセットされた事に、頭が追いついていなかったのだ。
そちらの方に意識が飛んでいた為、ナナの方には目をくれなかった。
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そうして、ナナはその足で部屋から即座に飛び出し、男が送っていた目線の先の部屋を発見した。
その部屋には、鍵がかかっていなかった。
ドアノブに手を掛けると、その扉は簡単に開いたのだ。
「いた! セダさん! 無事ですか!?」
「ナナ!? 良かっ… 」
その瞬間、ナナはセダリアの言葉を待つ事もなく、その身体に抱きついたのだ。
そしてすぐさまその身を離すと、セダリアの両肩を力強く掴むと、その身体を触れまわり確認し始めた。
「怪我は!? どこか痛む所とかありませんか!?」
「あぁ… 少し後頭部が痛むが、それ以外は… 」
「えっ!? 後頭部!? 血は!? ちょっと見せっ… 」
正面から首の後ろを確認しようと、ナナがその方へと顔を覗き込むような仕草をしようとした瞬間、セダリアは思わず、その腕を掴んで制止した。
「… っナナ! こ、これ以上は! 大… 丈夫だから」
「え? あぁ、それなら良いんですけど… 」
「ナナは? 何もされてない? 何か少し言い争っているように見えたけど… あ、でもあれはあっちが一方的に怒鳴ってただけ… か?」
顔の熱さが収まったところで、その応えを聞こうとセダリアはナナの顔を見た。
その表情は、とても驚いたように見えた。
「なっ… 何で知ってるんですか!?」
(そうか… あちら側からは見えないのか)
そう思いながら、セダリアは先程まで見ていた、壁の向こう側にあるナナの部屋を指差した。
そこには、未だにピアノを見つめている男の姿があった。
「は、わわ、え? こ、ここからずっとあの部屋を… 私達を… 私… を? 見てたんですか… ?」
ナナの顔はみるみるうちに、赤く染め上がった。
「えと、ナナ? う、うん… それにしても、よくこの部屋にすぐに入れたね? 鍵を受け取ったような様子もなかったし」
「え? 鍵なんて掛かってませんでしたよ?」
「だけど僕が手をかけた時には、扉は開かなかったけど… 」
「あ… 」
ナナ達は、一斉にその扉の方へと目をやった。
そして、そのドアノブに手を掛けると、想像通りのような事が起こった。
「開き… ませんね… 」
そう、この扉には鍵はかかってはいないが、内側からは開かないという構造になっていたのだ。
ドアノブが回らないからだ。
しかし、その絶望はすぐに収まる事となる。
思っていた以上に、すぐにその扉は再び開いたのだ。
壁の向こうを見ると、先程までいたはずの男がいなくなっていた。
そして、開かれた扉に立っていたのは、その男だったのだ。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
(基本歌は歌っていません)
あくまでも、作者が聞きながら想像し、執筆した楽曲を参考までに載せております。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。
文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。
また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。




