episode51〜壁の向こう側〜
たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。
ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。
暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。
ナナが目覚める数分前。
部屋の灯りを探す為、セダリアは部屋の至る所を探していた。
すると、使えそうな蝋燭と蝋台を見つけた。
持ち歩いていたマッチに火をつけ、灯りを灯す。
すると、先程までいなかったナナの姿が、少し遠くの方で見え始めたのだ。
横たわるようにして動くこともないナナの姿を見て、セダリアはふらつく足元を踏ん張りながらも、彼女の為に進めた。
「ナナッ!」
その声に反応することもなく、ナナの身体はびくともしない。
そして再び、その身体に鈍い衝撃が走るのを感じた。
先程まで壁と思っていたその場所に、衝突したのだ。
これ以上進めない。
姿は見えるのに、声も届かず、そして近づくこともできない。
そのもどかしさをどうすることもできなく、時間と共に焦りだけが湧き上がっていた。
「何なんだこれは… 一体どうなっている!? おい! 誰だ!? こんな事をして何になる!?」
しかし、その声に反応する者は、ここには誰もいなかった。
すると、数分の時が経ち、どうすべきか考えていると、ナナの身体がゆっくりと起き上がるのが見えた。
しかし、その声に反応したわけではなさそうだった。
声を張れど、壁を叩けどナナはこちらに気が付く様子が一向にない。
(何だ? 何かがおかしい? このからくりは一体… )
そう思いながら、更にもどかしい気持ちを壁を触ることによって、少し考え始めた。
すると、ナナは辺りを少し探索しながら、ピアノの方へと近づいて行った。
(あのピアノは… まさかっ!?)
そこに置いてある楽譜を触る。
「ダメだ! 触るな!」
その届かない声に、ナナはもちろん気が付くこともなかった
何か様子が変な事に、セダリアも気が付き始めていた。
「ん? 楽譜が動かない?」
すると、今度はナナがそのピアノに手を掛けるのが見えた。
更にその声を張り上げる。
「ナナ! 弾いてはダメだ! ダメだ! やめろっ… 」
しかし、ナナはぎこちなくも嬉しそうにそのピアノを弾き続けていた。
「やめろ… またあのような悲劇を… 」
そう言いながら、血が滲み始めるその拳を壁へと押し付けた。
そして、ナナが弾き終わるような仕草をすると共に、その部屋に見知らぬ男が入って来るのが見えた。
(誰だ?)
セダリアはナナに危害を加えないかと、睨みを効かせていた。
そして何やら言い合うような一件を終えると、2人はセダリアのいる壁の方へと視線を向けた。
「え… ?」
しかし、ナナだけは自身の姿に気が付いていないようだった。
男はピアノの前にナナを引き戻し、何やら言うと、素直に頷きもう一度同じ曲を弾き始めた。
それからだ。
完璧に弾いたのか、満足したからなのか。
男は考え込むようにピアノの前にしゃがみ始めた。
その隙を見て、ナナは咄嗟に部屋を出た。
容易に出れたのか、今度は勢いよくセダリアの部屋が開かれた。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
(基本歌は歌っていません)
あくまでも、作者が聞きながら想像し、執筆した楽曲を参考までに載せております。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。
文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。
また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。




