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episode5〜冷徹〜


たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。

ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。

暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。




言われるがままに、王宮の中へと連れて行かれるナナ。


その場所は、来た事がない場所だった。


いや、ナナのような下っ端の使用人が足を踏み入れて良いような場所ではなかったのだ。


その煌びやかな装飾品が至る所に並ぶ廊下を、何の躊躇もなく進むセダリア。


「え? え? こ、ここって… 」


「あ、うん。そうだよ。今向かっているのは、リリック殿下の部屋だよ」


「え? え!? で、殿下!? 王族!?」


「そう、君をずっと探していたのは、リリック第一殿下だから」


(それっ! 先言えよ!!)


「でも一応言っておくね? 氷のように冷たくて、鉄のように硬い表情だから」


「え? 怖い… 本当に殺されたりしないですか?」


「うん!… 多分ね」


(その多分が怖いんだってぇ!)


既にその足は、リリック殿下の自室の前にまで来ていた。


扉の前には、厳重に衛兵が両サイドに立っている。


その2人には目もくれず、セダリアはその扉をまるで音色を奏でるように軽々しく叩いた。


中から、何か聞こえた気がした。 


自身の心音に掻き消されて、聞こえなかったのだ。


ナナの心臓は、一気に跳ね上がっていた。


しかし、扉が開いた次の瞬間、その心臓が一気に凍りついた。


忙しい心臓だ。


その先にいたのは、冷たく表情を一切変える事のない男性が立っていた。

まさに冷徹無比だ。


しかしナナはその姿に、何故か美しいとも思ってしまった。


足がすくむナナ。


セダリアが何か話しかけている姿が見える。


しかし、感覚がわからないほど、緊張が身体中をほとばしっていた。


その視線はすぐに、セダリアからナナへと移された。


(なんて、冷たい瞳なの… 怖い… )


そして、その唇がどう動いたのかもわからなかった。


「弾け」


そう聞こえた気がした。


しかし、すぐに目の前に温かな眼差しのセダリアが駆け寄ってきた。


「大丈夫。彼は君の演奏が聴きたいだけだから」


「え? 私の… ? 演奏を?」


「うん… ほら、あそこにピアノがあるでしょ?」


そう言いながら、セダリアは奥にある立派なピアノを指差した。


漆黒のグランドピアノだ。


その側にある、繊細な造りのソファには既にリリックが座っていた。


早くしろと言わんばかりの視線だ。


「さぁ… 」


そう言いながら、ナナの背中を優しく押すセダリア。


その肩を支えながら、鍵盤の前に座らせた。


その優しさとは裏腹に、期待を込めた眼差しが突き刺さる。


(ひ、弾くの? え? 今?)


その両手は震えたままだ。


「早くしろ」


リリックのその一言で、意識が飛んだ。


そして、昨晩と同じ曲を無心で弾いた。


心ここに在らずだ。


ナナは外部との通信を断ち切る事にした。


鍵盤にだけ意識を持っていったのだ。


その曲を弾き終わると、先程までソファにいたはずのリリックがいつの間にか横に座っていた。


「おい、おま… 」


しかし、何を思ったのかナナはそれを断ち切るように、再び鍵盤を叩き始めた。


言われてもない違う曲を弾き始めた。


完全無視だ。


「え… 」


その場の空気が、少しピリついた。


リリックを無視した事により、緊張が走り始めた。


しかし、その行動により、リリックでもセダリアでもない声が飛ぶ。


「貴様っ! リリック様を無視するとは何事だっ! 今すぐにっ… 」


しかし、その口を黙らせたのはリリック本人だった。


従者の頬を鋭い刃物が擦る。


血が流れると共に、冷たい一言が突く。


「黙れ」


「… っ! 御意… 」


しかし、その事態にナナは我に返り、身体をのけぞらせて言った。


「ごごごこめんなさいっ! ぶち壊すつもりはなかったんです! 晩餐会があんな事になるなんてっ… 」


「おい、勝手に止めるな」


その言葉にナナは身体が凍りついて、完全に手が止まってしまっていた。


「おい。聞こえなかったか? 止べぶっ… 」


顔を覗くリリックに、更に驚いたナナはその冷徹な顔を両手で追い返してしまった。


位置が悪かった。


その唇ごと、顎から一点を突いてしまったのだ。


その様子に周りは凍りつく。


かつてないほどの氷点下だった。


しかし、唇は痛々しくも緩み始めた。

笑い出す殿下に、更に周りは驚きが溢れた。


「ふふふふふっ… 面白い」


そう言うと、その冷徹な表情をすぐに取り戻す。


再度高貴なソファーに座ったリリック。


「さぁ続けろ」


今度は真っ直ぐにナナを見るリリック。


少しだけ意識が戻ったナナは、言われるがまま続けた。


そして思った。


(あぁ… こりゃ最後の伴奏になるな、マジで)


演奏が弾き終わると、今度はその場に座ったまま、リリックは声を発した。


「お前、毎晩ここに弾きに来い」


「え? 毎晩!? ですか… ?」


「そうだ、欠かさず毎晩だ」


これは、命令だ。


その命に反すれば、今度こそ首が飛ぶとナナは確信した。


断ると言う選択肢は皆無だった。


青ざめるナナとは裏腹に、側で見守っていたセダリアから笑みが溢れていた。





最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

ナナが昨晩と同じ曲を弾かされた曲は、

MIMIさんの【マシュマリー】です。

また、完全無視をし、ナナがいきなり弾き始めた曲は、MIMIさんの【風鈴歌】です。

(基本歌は歌っていません)

イメージしながら書かせていただきました。


今後、作者が聞きながら執筆した楽曲をその都度、参考までに載せておきます。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。

あまり、ボーカロイド音楽を聴いた事がないので、何かオススメなのがあれば、メッセージ等下さると嬉しいです。(ピアノの旋律がある物だと尚、嬉しいです)

文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。

また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。


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