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episode49〜あるはずのない物〜

たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。

ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。

暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。


翌日、滞在まで残り2日となった。


本日もナナは、朝から都へと赴いていた。

ナナはこの国をとても気に入っていた。


そして、朝早くやっている出店といえば、朝市だ。

王宮での朝食を、この日ばかりは事前に断っていたのだ。


そう、朝一で最高の朝食を頂く為に。


ナナはその芳醇な香りを、肺いっぱいに堪能していた。

それだけで、お腹が満たされるような香りと雰囲気だ。


本日、その場に居合わせる事の出来ない人物が2名。


リリックとその側近であるネイルだ。


彼らは、国王直々にお呼びがかかっていたのだ。

よって、この場に来てしまうとその時間には到底間に合う事ができなかった。


渋々その後ろ姿を見送ったリリック。

特にそうさせたのは、そのお供だろう。


セダリアがついて行く事を知った時の表情は、昨夜の彼のものと匹敵するのではないかというくらいであった。


今朝、ナナが見送られる際、その寂しさを補うかのように額にキスをしたリリック。


予想内の驚いた表情に加え、予想外の表情も見られたことに心が躍った。


ナナは少し照れると、リリックのその手に軽く口付けをした。


そして、スカートの端を持ち上げ、不慣れなお辞儀をリリックへと向けたのだ。


しかし、殿下に対しての挨拶が不恰好であろうと、そんな事はリリックには、気にも留めなかった。


ナナが自らその愛情表現をしてくれた事が、非常に嬉しかったのだから。




そして今に至る。


セダリアは久しぶりに、ナナと2人きりになれた事の喜びを身に沁みていた。


ナナ以上に心躍っているかのように感じた。


ある程度、市場を回り終えると、休憩を取るために、少し川沿いの場所で腰を下ろす事にした。


「ちょっと食べすぎましたかね?」


そう言うナナの手には、未だその口へと待機している食べ物達が列を成していた。


「ふふ… でもそれもまだ食べるんでしょ?」


「え? あ、はい… 折角なので、この味を覚えとかないと」


「そうだね。でもまた来れば良いんじゃない?」


「… んぐっ、それもそうなんですが… 片道10日はちょっと私には遠くて… 」


「そう? まぁ確かに慣れないと疲れちゃうよね」


(この世界では、そのくらいは極普通の事なのか?)


その間にも、口へ運ぶその手を止めないナナ。


(滞在中太りそう… )


そう思いながらもやめられない。

やめられないのだ。


「そういえば、セダリアさんは何か用事があってここに来たと言っていましたね? それって個人的な事なんですか? 例えばお友達に会いに来たとか… 」


「あぁそうだね、ちょっと探し物をね。でもまぁここには、やっぱりなかったかな?」


「そうなんですね? それはとても残念でしたね」


「ふふ、そうでもないよ?」


そう言いながら、セダリアは少し含みのある言い方をナナへと放った。


「… ナナはさ… 」


「ん? はい?」


「ナナは… その… リリックの事が好きなの?」


「ブフッ… ! んあっ、なっなっ」


「あ、いや、たまに… そう見える時があるんだけど… 勘違いだったら嬉しい」


「え!? そっそう見えます!? 嘘っ!?」


そう言うナナの顔をふと見たセダリアは、自身の胸が苦しくなるのに気が付いた。


ナナが思った以上に、顔を真っ赤に染めていたからだ。


(はぁ… なんて事だ… )


「そ、そうですね… 今は嫌いではないです。案外話しやすかったですし、それに… 意外と優… しくて」


「最初、あんなに怖がっていたのに?」


「確かに初めて会った時は… いえ、初めて会う前から怖かったです。リリック様は冷徹無比で、とても人間の心を持つようなお人ではないと伺っていましたから」


「まぁ確かにそう言われていたね」


「えぇ。それがいけなかったんです。その人を感じる事もなく、ちゃんと見る事も話す事もなく、勝手なイメージと噂だけで人を判断してはいけない。今思えば、あの時の自分が恥ずかしくて堪りません」


「そう… だね。でも判断するには… 」


「だってリリック様はあんなに… 」


(あんなに?)


「あんなに… 」


そう言いながら、次の言葉を出そうとしないナナ。

その目は少し遠くの方を見ていた。


川の向こう側が気になっているのか、その視線を外す事なく立ち上がった。


「え? ナナ?」


(あんなに、何なの!?)


セダリアは、その続きが気になって仕方がなかった。


「ピアノ… ?」


ナナがそう呟くのが聞こえた気がした。


しかし、あの場にピアノがあった記憶もなければ聞いた事もない。


向こう岸の川沿い、しかも屋外になど。

もしかしたらこれから、演奏会が始まるのかもしれない。

その可能性も拭えなかったが、セダリアが一瞬見たそれは見覚えがあった物だった。


更には、この国にあるはずのない物であった為に、その声を抑える事もできなかった。


「嘘だろ… ? 何故あんな所に?」


セダリアは、嫌な予感がよぎった。


その言葉が聞こえていなかったナナは、興味本意からかその後を引き寄せられるかのように追った。




最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


(基本歌は歌っていません)


文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。

また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。


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