episode44〜海外デビュー〜
たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。
ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。
暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。
リリックは自身の部屋にまで来ると、やっとその口を開いた。
「ナナ? 何故隠していた?」
「え? な、何をです?」
「絶対的な音感を持っている事だ」
「絶対… 音感? ん? どっかで聞いたことがあったような… 音を聞くだけで、どの音かわかるっていうあの?」
静かに頷くリリックの表情を見て、ナナは訳が分からなかった。
「え? 私がですが?」
「違うのか?」
「そう… なんですか?」
「… 話が噛み合わないな… お前、楽譜が読めないんだよな?」
「何故それをっ!」
(それは隠していたのに!)
「先程の一連で馬鹿でもわかる。楽譜が読めないからこそ、あの曲を弾ける者を呼び付け、弾かせたんだろう? そして、見事に一度演奏を聴いただけで、あの長い曲を弾いてみせた。さすがに驚いたぞ。まさか、あんな芸当が出来るとは… 」
「… 確かに私は楽譜を読めません。リリック様が仰っている事は全て… 本当です。しかし、絶対音感を自分が持っているとは思っていませんでした。そうか… これが絶対音感… 私… 凄いかも!」
ナナはこの時まで知らなかった自身の特技に、ガッツポーズを存分に掲げた。
その姿に驚き、そして笑いが込み上げてくるリリック。
ついにその笑みは、声となって溢れた。
「ふふ… お前… 面白いな」
「え? あ、そ、そうですか? すいません、つい」
「いい… そのままで… そのままでいいから」
そう言いながら、ナナのその握った拳を自身の掌に乗せ、軽く唇を当てた。
顔が真っ赤になりながらも、その手を振り解くことが出来ない。
余韻が残る感触が愛しかった。
彼女にとっても、とても愛おしいものに変わっていたからだった。
「さて、折角だから都にでも足を運んでみるか?」
「えっ!? 良いんですか!?」
「来る途中で食い入るように、都を眺めていただろう? ヨダレを垂らしながら」
「え? ヨ、ヨダレ?」
「ふふ、行かないのか?」
「い、行きますとも! もちろん!」
ナナの嬉しそうな横顔を見れたリリックは、その日1日を満喫した。
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そうこうしているうちに、3日後の演奏会がやってきた。
ナナはその身に、美しい淡いエメラルドのドレスを纏っていた。
未だ慣れないその煌びやかな格好に、照れを隠すことが出来ない。
鏡に映る自身を見ながら、思う。
(あの時のうさぎの仮面が恋しい)
そう思いながら、扉から音がする方へと返事をした。
「準備は良いか?」
その声は、リリック本人のものであった。
本来であれば、殿下直々に迎えに来る事はない。
特にリリックの場合はそうだった。
しかし、彼の姿が現れた瞬間、ナナは焦りのあまり声が上擦ってしまった。
「リ、リリック様!? 如何されました?」
「ん? どうもこうも、婚約者を迎えに来たまでだが?」
「えっ!? そ、そんな! リリック様みずかっ… らっ!?」
その瞬間駆け寄ろうとしたナナの脚がもつれ、宙へと浮きそうになった。
咄嗟にリリックがその身を受け止める。
「うっ… わぁ! す、すいません」
「気を付けろ」
そしてとびきり近くで、2人の瞳が合った。
その姿に2人は驚き、頬を染める。
「美しいな?」
その真っ直ぐな言葉に、思わず耳を疑うナナ。
「へ?」
「なんだ? 聞こえなかったのか?」
そう言いながら、リリックは、今度は更にナナの顔に近づき唇が付く距離でその耳元に囁いた。
「とても… 綺麗だ」
顔が真っ赤に染まるナナ。
今度は、俯いてお礼を言った。
「とんでも…… ございません」
「ふふ、さぁ行くか」
「はい… 」
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煌びやかな世界。
このような場所に、まさか自分が来賓として招かれるとは思いもよらなかった。
しかも隣には王族。
一つの国を背負うことを約束されている、とびっきりの王族だ。
緊張と慣れないドレスによって、その脚がもつれそうになる。
しっかりと支えられたその腕のおかげで、そうならずに済んでいるのはありがたい事だった。
しかし、その緊張は更に増すこととなる。
2人の姿に、周りの者からの視線が注がれる。
(うさぎの仮面… 欲しい)
ナナは、再度懇願した。
その視線は、ほとんどがリリックへと向けられているにも関わらず、ナナにとってはとても耐え難いものだった。
(やっぱり… そうじゃん。前にも思ったけど、あの顔面では、もし近づけなくともガン見するでしょ、皆様)
ナナはこの国に来てから… いや、この世界に来てからずっとそれを感じていた。
人の目線が気になるナナだからこそ、敏感になっていたのだ。
そんな事を全く気が付くこともなく、会場内にいた王族や重鎮達に、軽く挨拶を済ませるリリック。
その中には、レクアの姿もあった。
「ナナ、とても美しい」
「ふふ… ふふふふふ」
「… ? 今日はよろしく頼んだ。とても楽しみにしている」
そして、パーティーも順調に進み、待ちに待ったナナの演奏が始まる。
今回は変装でも何でもない。
ナナとして、その演奏を奏でる事が出来ていた。
それも他の国でだ。
ありのままの姿とは言えないが、ウサギと化していた時よりはよっぽど心が楽であった。
パルティシオン国もナナにとっては、違う国といえばそうなる。
しかし、彼女は既にその国に身を置く覚悟はとっくに決めていた。
そう… あの時までは…
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
サズリナ国での初海外による、晩餐会で今回ナナが弾いたのは、以下の二曲です。
一曲目は、アゴアニキさんの【ダブルラリアット】をPiano Echoesさんがカバーしたものです。
二曲目は、n-bunaさんの【もうじき夏が終わるから】です。
(基本歌は歌っていません)
合わせて聴いて頂けると嬉しい限りです!
もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。
あまり、ボーカロイド音楽を聴いた事がないので、何かオススメなのがあれば、メッセージ等下さると嬉しいです。(ピアノの旋律がある物だと尚、嬉しいです)
文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。
また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。




