episode27〜不審な笑み〜
たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。
ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。
暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。
翌朝。
いつものように目が覚めるナナ。
その横には、大好きなピアノが目に映った。
昨日、自身に何が起こったのかは、全く知らない。
しかし、あの煙の中の光景は覚えていた。
(あれ? 私… 確か… )
その身をゆっくりと起こしながら、ナナは酷い頭痛に見舞われていた。
「ったぁ… 何これ? え?」
すると、見覚えのない女性の声が聞こえた。
「ナナ様? お目覚めになられなましたか?」
「え… ナナ… 様?」
「あ、失礼… ナナさん。これを飲んで下さい」
そう言われ、中年程の侍女に白い粉を渡された。
(え? コレ… 大丈夫なやつ?)
躊躇するナナを見て、侍女はニコリと微笑んだ。
「心配しないで。飲むと楽になるわ」
「え!?」
(もっと不安!)
すると、今度は聞き慣れた声がした。
「トゥーリ。その言い方では更に不安を煽るだけですよ?」
その声を聞いて少し安心するナナ。
(あ、この人は確かリリック様の側近の方… )
「ナナ殿。安心なさって下さい。安全な薬です。身体の不調が良くなりますよ」
「はい」
そう言ってナナはその、白い粉を口に含んだ。
(にっが!)
ナナの顔が歪む。
しかし、数分程で効果は絶大に効いてきたのだ。
スッと頭の痛みが引いていく。
ナナは落ち着いたところで、昨日の出来事を聞いた。
そう全て聞いたのだ。
その震えは薬の副作用なのか?
そうではなかった。
ナナがリリックにした行為が、そうさせていたのだ。
全身が震え、表情が青ざめた。
その場にいる側近が何か言っている。
侍女が心配そうに身体をさすっている。
しかし、ナナにはこれ以上何も聞こえなかった。
何も感じなかった。
(恐ろしい事をしでかしてしまった… 遂に… 遂に首が飛ぶ日が決定する)
ナナの頭の中には、処刑と言う文字が駆け巡っていた。
「… の… ナ殿っ! ナナ殿!?」
揺さぶられる身体と、その声にやっと周りの景色にピントがあった。
「あなたのご心配なさっていることは起こりません! 絶対に!」
「え… ? え? ほっ本当っ!?」
「えぇ… いや、むしろ、殿下はお喜びに… 」
「ん? 今なんと?」
「あ、いえ… それより、リリック様が心配しておられました。もし可能であれば、今宵、殿下がお部屋に来られるそうで… 」
「ん? リリック様が? この部屋に?」
「はい」
「え!? いや、そんなリリック様に来させるなんて真似はっ… 」
(私もそう仰ったのですが、聞き入れなく… )
「私が行きますよ!」
「わかりました。その旨、伝えておきます。それまで、ナナ殿は安静にしていて下さい」
「はい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そしてその夜。
少し照明を落ち着かせた部屋で、2人は落ち合った。
今宵、奏でる事のないピアノが、見守るように佇む。
リリックは労わるように、彼女をソファーへと座らせた。
彼は昨日のある事が気になり、それを口に出す。
その質問に対して、こう応えた。
「左の脇腹の傷のことでしょうか?」
その言葉が、リリックを更に前進させた。
「そうか… そう… だな。この傷は身内以外には見られてはならない」
「どういうことですか?」
「そういうことだ… 見られたからには、俺の妻としてこの先過ごしてもらう」
「え… 妻!? 婚約者って事ですか!? そんな事で!?」
「そんな事ではない。これはとても重要な事で… 」
「で、でもっ… そうだ! 見なかったことにすれば、よろしいのではないでしょうか!? それに、私のような者ではなくとも、もっと良い人がっ… 」
「いや… それは… 」
「ダメですっ! 他を当たって下さい!」
「違うんだ! 俺が… 」
「え?」
「… から」
「今… 何と?」
「愛して… るから」
その瞬間、嬉しさの溢れる笑みをこぼすナナ。
「私を… わたくしを愛してると? ふふ… 」
その笑みは、すぐに嘲笑うかのような笑みへと変わった。
意味もわからなく、思考が止まるリリック。
考える間もなく、その意味を知る事となる。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
(基本歌は歌っていません)
今後、作者が聞きながら執筆した楽曲をその都度、参考までに載せておきます。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。
あまり、ボーカロイド音楽を聴いた事がないので、何かオススメなのがあれば、メッセージ等下さると嬉しいです。(ピアノの旋律がある物だと尚、嬉しいです)
文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。
また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。




