episode20〜煌びやかな世界〜
たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。
ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。
暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。
その部屋に1人になったナナは、再度自分の姿を見た。
(それにしても… 素敵なドレス… 私にはもったいな… あれ? でもこれじゃ… )
「会場のお手伝いができないじゃないっ!」
(待って… 待って… 私の出番は確か終盤… えっ!? それまで何してるの!? てっきり、会場の仕事しながら、最後の方に演奏するのかと思っていたけど… )
ナナは、段取りを確認していなかった。
(この部屋に待機してるにも… 会場の様子がわからないと、出遅れる可能性もあるし、誰かが呼びに来てくれるとか… そうかっ! セダさんがきっと… )
そう思っている側から、部屋の扉にノックの音が響いた。
(ほら! やっぱり、呼びに… ん? 早くない?)
ナナの予想通り、その扉の前には正装を纏ったセダリアの姿があった。
そっと、扉の隙間からその姿を確認する。
「セダさん、こりゃまた素敵に仕上がってますね… 」
「え? うん、ありがとう。ナナは準備できた?」
「じゅ、準備… そうですね、はい」
その隙間からは、ナナの全貌が見えない。
「ん? どうしたの? 何か問題でもあった?」
「問題… そうですね、問題だらけです」
「え!? どういう意味? 大丈夫?」
「こんな姿じゃ人前に出れません」
(2週間前も同じような事言ってたな… )
セダリアはそう思いながら、その扉を力尽くでこじ開けた。
「ほらっ!」
その瞬間、セダリアは脳内の景色が変わった。
ナナと言われればナナだ。
しかし、ナナと言われなければ、その目の前には美しく着飾った1人の女性が居たのだ。
(これは… )
言葉を失うかと思った。
しかし溢れた言葉は、ナナにとっては聞き慣れないものだった。
「… くしい」
「え?」
「本当に美しいよ… ナナ」
そう言いながら、その頬に手を滑り落とした。
顔が真っ赤になるナナ。
背けるようにして、顔を伏せる。
「ご、ご冗談を… 」
「いや、本当に… 」
「… っ… 、そ、それよりもう会場に行かないといけないんですか? 私、てっきり演奏まではお手伝いをするのかと… でもこの格好じゃ動きにくいですし… 」
「そうだね。ナナは参加者扱いだから、手伝いはしなくて大丈夫なんだよ」
「参加者? ですか?」
「うん! だから、一緒に楽しもうね?」
「え? 楽しむ? この私が? え? なんで?」
「ふふ、さぁ行こうっ」
そう言いながら、ナナの手を引いて会場へとその身を誘った。
そして、ナナはその煌びやかな世界へと足を踏み入れたのだった。
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場違いのざわめきに、ナナは変な緊張感に包まれていた。
「何か飲む?」
そう言いながら、適当にグラスを手に取り、ナナに渡すセダリア。
(さすが王族坊ちゃん… 手慣れてやがる)
ナナはどう振舞って良いのかわからずに、硬直していた。
とりあえず受け取った、その未知の飲み物を口に含む。
(うんまっ! 何じゃこりゃ!)
ナナのその驚いた表情を見て、セダリアは思わず吹き出してしまった。
「ふふっ… 美味しい?」
「え? あ、はい… とても美味しいです」
ナナはそのグラスを片手に会場を見回しながら、その雰囲気を眺めていた。
何処を見ていいのか視点が定まらない。
その間にも、セダリアのところには、入れ替わり立ち替わり挨拶に来る人々がいた。
(さすが… 王族… これが身分の差)
その中でも、主に美しきかなご令嬢達が多かった。
(独身王族… モテモテや)
ナナは徐々に、その身をセダリアから離していった。
と言うよりかは、ご令嬢達に押されるように、場所を移動せざるを得なかったのだ。
(お、落ち着かない… )
そう思いながら、出来るだけ影となり、そして空気になろうと思った。
(そういえば、主役のリリック様って何処に… あ、いたいた)
ナナは会場フロアの階段上方に、座っているリリック殿下の姿を見つけた。
近くには、国王とその王妃が座っているのも確認できる。
(うわぁ… めっちゃつまらなさそう… ん?)
その時、ばちりと目が合ったような気がした。
しかし、その瞬間会場が静まり返った。
とある大臣が、その場を仕切り始めたのだ。
主役は微動だにしない。
その姿はいつも通りの冷酷無比が健在していた。
そのうち、優美な音楽と共に参加者達のダンスが始まる。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
(基本歌は歌っていません)
今後、作者が聞きながら執筆した楽曲をその都度、参考までに載せておきます。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。
あまり、ボーカロイド音楽を聴いた事がないので、何かオススメなのがあれば、メッセージ等下さると嬉しいです。(ピアノの旋律がある物だと尚、嬉しいです)
文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。
また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。
 




