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episode2〜新生活〜

たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。

ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。

暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。




「ナナ! こっちも全てお願い!」


菜々美はここでは、何故かそう呼ばれていた。


おそらく、人と話すことに慣れていない為、声が小さく、‘み‘が聞こえなかったのだろう。


この際だから、ナナと自身の中でも改名した。


この世界に転移してから、3週間ほどの時が経ったであろうか。


言われるがまま仕事をこなす菜々美。


洗濯、掃除、荷運びなど色々なことをやらされた。

主に雑用だ。


菜々美にとっては全てが初めてのことだった。

料理や裁縫などの分野は技術と経験がいるため、その種の仕事は任されることはなかった。


その間、菜々美は菜々美なりに考えを整理させていた。


ここは大きな城の中だとすぐに気が付いた。


自分は、違う場所、いや、世界に来てしまったのだと理解した。


名も聞いたことのない国。

この国の名は、パルティシオン。


菜々美は勉学だけは出来た。

学校生活においてそれしかやることがなかったからだ。


地理や歴史の中にそのような名はなかった。


ここにいる限り、衣食住が保証される。

何より少しばかりだが、お給金が出る。

もちろんその金銭も見たこともないような形状だった。

何処で使ったらいいのかもわからなかった。

ただ溜まる一方。

それでも何故か嬉しかった。


そしてここ3週間で一度も、高貴な方を目にしたことはなかった。


下っ端の下っ端であったからだ。

目にすることすらできない。


(王族とはそのようなものか?)


そう思いながら、目の前の冷たい水に手を入れ布を擦る。


相変わらず、その前髪は健在だった。


顔を覆うそれは、今はもう彼女の生きる為に欠かせないものだった。


学校という大嫌いな場所から、その身を逃れられたのはとても喜ばしかった。


しかし、やはり大きな心配と寂しさは残る。


(お母さんとおばあちゃん… 心配してないかな? 手術… 成功したかな… )


そう思いながら、洗ったばかりの洗濯物を太い紐にかけていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それから3ヶ月の時が経った。

あっという間の3ヶ月。

ここに来てから何も変わらずに過ごしてきた。


そう、あの日までは。


やはり転移先でもそうだった。

いや、そうなったのだ。

どの場所にも、どの世界にもそういう輩はいる。

そう思いながら菜々美は、あの場所での苦しい気持ちを思い出していた。


そのどろどろに汚れた洗濯物。

辺りには、桶から盛大にぶち撒けられた水が溢れていた。

目の前にはその輩がいる。


(あぁ… またこれか)


それは徐々にエスカレートを増していった。


(他にやることないのか)


そう思いながら、またその気持ちをグッと堪える日々が続いていく。


毎日同じ持ち場の使用人によるいじめだ。


元の世界より、娯楽が少ないのだろう。

学校にいた時より、それは多く感じた。

しかも、学校という期限がわからない分苦痛が大きくも感じる。


しかし知らない世界に来て、私はここにいるしかなかった。


頼る人もいなければ、助けてくれる人もいない。

ここにいるしかないのだ。

他に生きる場所が見つかるまでは、お金も大事にしなければならないと感じていた。


しかし、それも数日後には砕かれる事となる。


誰かが部屋を荒らしたのだ。

あるはずのものがなかった。

来て間もないが、一銭も手を出してない金銭が全てなくなっていた。


ナナはその場で、膝を崩した。

しかし泣くことはなかった。

悔しい気持ちを強く持ち、心に刻んだ。


(絶対にここを出る)


そう思いながら、部屋を片付け始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それから更に1ヶ月の時が過ぎ、相変わらず、同僚からの嫌がらせは尽きない日々が続いていた。


(毎日毎日、よく飽きもせずに… )


そう思いながら、淡々と仕事をこなす。


使用人の代わりはいくらでもいる。

だからこそ誰も手を差し伸べないし、自分さえ良ければ他人がどうなろうと、どうでも良かった。

むしろ、手助けなんてしたら自身が標的になる可能性が大いにあった。


ここはそういう場所だ。


そして翌日から1週間は、ナナを相手する者がいなかった。

その分忙しさのあまり、目が回りそうだった。


この城では数ヶ月に一度、晩餐会が開かれている。


もちろん何の為のものなのかは、ナナは知る由もなかった。


彼女にとってはそんなものどうでも良かった。


それよりか、この忙しさが永遠に続けばいいとさえ思っていた。


会場のセッティングに駆り出される使用人達。




そしてその日が来た。


夕刻が近づくにつれ、身なりの良い者達が集まってくるという。


ナナはここに来て、この時程忙しい日はなかった。


会場に料理を運ぶのに、腱鞘炎も覚悟した。


そうこうしているうちに、時間ギリギリになって会場の準備はひと段落ついた。


これからは、会場に足を踏み入れる事はない。


もちろん開催されている間も、大変忙しい事には変わりない。


空いたグラスや料理を運ぶなどの仕事は、大いにいある。

むしろ、これからが大一番だ。


しかし会場内への世話係りは、ベテランである使用人が行う。


新人であるナナにとっては、裏方の方をする事になっている。


会場から離れようとしていたナナに、聞き覚えのある嫌な声が聞こえた。


その日まで忘れていた。

いや、片隅にはあった。

しかし、当たり前になりつつあったのだ。

そんなわけないのに。

いつかはまたソレが来る。

わかりきっていたのに。


忙しさのあまりに、ソレが非常に薄れていたからだ。

彼女達のストレスも溜まっていたのだろう。


久々に来たソレは、ナナの身体と心にずしりと重しがのしかかるように、沈み込んだ。


(き、来た… )


ナナは心臓の鼓動が、一気に跳ね上がるのがわかる。


悪魔のような言葉が、ナナの耳元で囁かれた。


「ねぇ… 」


そしてそのまま勢い良く、その手はナナを無理矢理会場に押し入れた。




最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

今後、物語りをイメージしながら聞いていた音楽をその都度、参考までに載せておきます。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。

あまり、ボーカロイド音楽を聴いた事がないので、何かオススメなのがあれば、メッセージ等下さると嬉しいです。(ピアノの旋律がある物だと尚、嬉しいです)

文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。

また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。


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