episode13〜選択〜
たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。
ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。
暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。
ナナが案内されたのは、都でも1、2を争う程の豪邸であった。
ただ、ナナにはその大きさを比べる程の知識はなかった。
しかし、とてつもなく金持ちだということはその頭でもわかる。
(逆にすごいわ… あの子達… この家の子にあんな事してたなんて… )
その門には、見張りが何人もいた。
門番達は、イルリの姿を見て非常に驚いていた。
しかし、その表情を崩すこともなく、イルリは何か断る仕草をすると、ナナを邸内へと案内した。
すぐに着替えを済ませたイルリは、ナナをある部屋へと案内する。
厳重に仕切られたそこは、その部屋に行くまでに分厚い施錠ドアを何枚も潜った。
その部屋には、あらゆる美術品や装飾品が置かれていた。
「助けてくれたお礼です。何でも好きなのを… 」
「え… ? えぇっ!?」
(金持ち思考っ!!)
「いやいやいや! これっ! 大丈夫なの!? 私全然詳しくないけど、流石にわかるよ!? ここにある物がとんでもない価値だって! 私があの子達に渡したお金なんてっ… 」
「ナナさん… 私があなたに助けられた価値は、ここにある全ての美術品を足しても足りないくらいです。教えられたこともたくさんあります」
(金持ちの価値観がわからん… )
そのキラキラと見つめる瞳は、今のナナにはイチコロだった。
「え、えと、じゃあ… 1つだけ… 小さめのを… 」
そう言いながら、できるだけ小さくて、元々あった自身の金銭と同じくらいの価値があるような物を探し始めた。
言わずもがな同じくらいの価値が、そこにあるはずもなかった。
(こ、これなら… あぁ手が震える… )
ナナはそこにあった、繊細な彫り模様の刻まれたシルバーのブレスレットを取った。
(うぅ… 小心者の心臓が… )
「決まりました? ふふ、素敵ですね。でも、それはナナさんがつけるには、少し大きいと思いますが、宜しいのでしょうか?」
「あ、はい… 大… 丈夫です… 多分」
「ふふふ、気に入ってもらえるといいですね」
「えっ!? えっ!? あ、う、うん」
(男にあげるってバレてる… )
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こうして、思いもよらない形でのリリックへの誕生日プレゼントを手に入れたナナ。
本日もリリックの部屋へと足を運ぶ。
何故かいつもより緊張する。
隠し事をしている気持ちが、少し表れてしまっていた。
(悪いことはしていない… むしろ良いことを… )
その日は、リリックの様子も少し違った。
珍しく演奏に対してのリクエストがあったのだ。
「そうだな。今夜は少し軽快な曲がいい」
「軽快な? … ですか?」
「そうだ。今宵は気分が良い」
(なんか良いことでもあったのか?)
ナナは知り得る曲の中でも明るい曲を選んで、鍵盤に指を走らせた。
満足そうに聞き入るリリック。
(お気に召したかしら?)
そう思いながら、少し笑みを浮かべるナナ。
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その帰り道、バッタリとセダリアに会った。
そして、ずっと疑問だったことをナナは尋ねた。
「あの… リリック様は、ピアノが本当にお好きなんですね? 以前から、ピアノ奏者にこういった事を?」
「ん? あ、いや、僕が知る限りではナナが初めてなんじゃないかな?」
「え!? 初めて? うーん… 」
「どうしたの?」
「いや、大きな声では言えないんですけど、リリック様は、何というか… ピアノへの執着心みたいなのがあるように思えるのですが… 」
「あぁ… うん、それは多分… 母親である王妃がね、弾いてたんだよ。かなり前だけど… 」
「王妃様が? では今は?」
「それが… 何かを機に突然辞めてしまったんだ」
「そうなんですね」
「あ、でもピアノを聴くのは好きみたいだよ?」
(まぁリリックの場合、それだけではないのかもしれないけどね… )
「そう… ですか」
(うーん、それなら、お祝いの曲というよりは… )
夜も更けてきたので、ナナとセダリアは話をこの辺で切り上げ、それぞれの部屋へと戻った。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
今回、リリックがナナにリクエストした軽快な曲は、
ロクデナシさんの【スピカ】です。
(基本歌は歌っていません)
跳ねるような音色が作者は好きです。
あくまでもイメージしながらなので、ご了承下さい。
今後、作者が聞きながら執筆した楽曲をその都度、参考までに載せておきます。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。
あまり、ボーカロイド音楽を聴いた事がないので、何かオススメなのがあれば、メッセージ等下さると嬉しいです。(ピアノの旋律がある物だと尚、嬉しいです)
文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。
また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。




