episode12〜少女〜
たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。
ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。
暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。
「あ、ありがとうございますっ!」
その場を治めたナナに、礼を言う少女。
その姿は、ボロボロの衣服を身に纏ったままだった。
「あ、いえいえいえいえ… 不甲斐なさすぎて涙が出てくるよ… 」
「そんな事ないです! 凄く嬉しかったんですからっ!」
「… ありがとう」
「え?」
「そう言ってくれてありがとう」
「???」
「これ… 着な」
そう言いながら、ナナは少女に自身の首に巻いてあった大きな肩掛けブランケットをかけてあげた。
「ありがとうございます。ふふ、温かい」
その可愛らしく笑う少女を見て、再度目の奥が熱くなった。
「あなた、名前は?」
「イルリと申します」
「イルリ。可愛い名前ね。私はナナ。その格好… 育ちは悪そうに見えないけど… 何であんな事に?」
「… 私がいけないんです。私があの子達の望みに応えられなかったから… 」
「望み?」
「はい。あの子達は… 1日1回望みを言ってくるんです。最初は簡単なものでした。でも、そのうちどんどん難しいものになって… 拒絶せざるを得ないものも増えてきて… 」
(すごいしっかり喋る子だな… それにしても)
「それって、あっちからの一方的な要望でしょ? あなたにとってそれは… 」
「ありますっ! 私とお友達になってくれるって!」
「えぇええ… それって友だ…… 」
「ん? どうかしました?」
「あ、いや、イルリはその子達と一緒にいて楽しい?」
「はい… 優しくしてくれる時もあるので… 」
(うわぁ… なんか闇を見た気がする)
「それじゃあ、イルリも毎日お願いしてみたら?」
「お願いですか… 私は、友達でいてくれるのであればそれ以上は… っ」
「うんっ! うんうん! わかるっ!」
「え? えっ?」
ナナはイルリの両肩を、ガシリと掴んだ。
「友達ってそういうもんだと思うっ!」
(私も経験ないから偉そうな事はわからないけど… イルリの気持ちは死ぬほどわかるっ)
「私はただ友達が欲しかった! 欲しかったの… でも叶わなかった… 」
(え? え? これってナナさんの事?)
「友達って… 本当はそうなんじゃないかな? 望みなんていらないっ! でも、あの子達は自分の欲望を言ってきたまでなのよ! それを毎日って変だよね? しかも一方的になんて… こんなにボロボロにまでされて、おかしいと思うっ! それってもう… もう… 」
(あぁ… 言えない… 言えないよ。この子が… イルリがいじめられてるなんて… 認識させてしまったら、きっと悲しませてしまうから… )
ナナが顔を伏せていると、細く白い手がナナの手を包んだ。
そして、ニコリと微笑みを差した。
「イルリ… その可愛らしい笑顔は、こういう時に使うもんじゃないんだよ… 」
「え?」
「私はイルリに、感情を我慢して欲しくない。心から楽しい時や嬉しい時に笑って欲しい。私が今こうしているように… 同じだったから。私が今あるのはここに来てから、触れたことのない人や物に触れさせてもらえたから。私はその意味を知った。だから… イルリにも… 」
イルリはその言葉に、スルリと糸が解けるように涙が溢れた。
「はい… ありがとう… ございます」
ナナは少しだけ軽くなったイルリの肩を、優しくさすった。
「あ、あのっ… 先程のお金って」
「そうだった! 有り金全部掠め取られたんだった!」
(自分から渡していたような… )
「あ… うん。だ、大丈夫だよ? 最初からあってないような、いや… あってもないようなもんなだから… 」
(え? とても大丈夫ではなさそうですけど… )
「もしよかったら、弁償させて下さい!」
「えっ!? いやっ、こんな少女にお金をももももらうだなんてっ!」
「そうですか… それなら、物でしたらどうでしょうか?」
「物? ん? 物って?」
その言葉に、垣間見えてしまったナナの薄い欲の心。
彼女をその先へと進ませてしまったのだ。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
今後も作者が聞きながら執筆した楽曲をその都度、参考までに載せておきます。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。
あまり、ボーカロイド音楽を聴いた事がないので、何かオススメなのがあれば、メッセージ等下さると嬉しいです。(ピアノの旋律がある物だと尚、嬉しいです)
文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。
また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。




