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episode11〜ソレの範疇〜


たくさんの作品から見ていただき、ありがとうございます。

ボーカロイド系の音楽を取り入れた作品になりますが、あまり詳しくないのが現状です。

暖かい心で呼んで頂けると嬉しいです。




ある覚悟を心の何処かに、密かに押し込むナナ。


(私… あの時絶対やらかしたわよね? でも… あれから何回か演奏しに行ったけど、意外と普通だったし。普通… だったわよね? うん)


そう思いながらナナは今、都へと来ていた。


 ’誕生日にプレゼントを渡すと機嫌が取れる’


そう以前の世界で学んでいたからだ。


(あれが本当の友達だったら、きっともっと楽しいんだろうな… 今回だって… )


ナナは心の何処かで詰まりがありながらも、リリック殿下の誕生日プレゼントを買いに来ていた。


受け取ってくれない可能性99.99%。


何かの弾みで間違って受け取ってくれる可能性0.01%。


その0.01%の可能性をかけて、ナナは有り金全てを持って都へと繰り出していた。

本来であれば、貯まりに貯まった賃金は、最初はこの城を抜け出して、1人で生きていくために使うはずだった。


しかし、背に腹はかえられない。


この命を守るためだった。

こんな自分でもやはり、大切な命。

守れるのであれば、どんな事だってする。


それでも、まだ働いて数ヶ月程しか経っていない身だ。

それに下っ端の仕事しかしていない。

おそらくその給金は少ないのであろう。

いや、それが都の物価に対して、少ないのか高いのか。


何よりその硬貨の価値がわからなかった。

こんな賃金では、買える物も限られるのではと思っているのが、現状であった。


それに加え、対象の相手は何と言ってもこの国の頂きに近いお方。

幼い頃から一級品の物を見、感じ、味わっていたに違いない。


成功率はほぼ0%に近かった。


ナナはそれを今から実行しようと試みていた。


もちろん、この事は他の誰にも言ってはいない。

セダリアにもだ。


彼はリリックの身内であるが故に、この事を本人の耳に入れてしまう可能性がある。


よって今、1人で都に赴いていたのだ。


しかし、外出許可を得た時のセダリアの表情は、何かを勘繰るようにしていた。


(あの時のセダさん… めっちゃ怪しんでたなぁ… )


「まぁ大丈夫かっ!」


そう意気込むナナ。


気合いを入れ直して、都街を当てもなく彷徨う。

しかし、当てがない。


それもそのはずだった。


ナナはこの世界に来てから数ヶ月、一度も王宮から出たことがなかったのだから。

その情景と言ったら、初めて見るようなものばかりだった。


(外国とか行ったら、こんな感じなんだろなぁ)


そう思いながら、故郷の母と祖母を思い出し、目の奥が熱くなった。


ナナは目的を忘れそうになり、その街並みを楽しんでいた。


すると、表の華やかさとは少し異なる裏へと続く細い道が目に入った。


その道に反応したのは、見えたからではない。


聞こえたからだった。


その場の雑音で、普通は聞こえないはずだった。


しかし、ナナは異常に耳が良かったのだ。


ナナはその声のする方へと、身体が向いていた。


(何だろう? 嫌な予感がする… )



壁と壁との細い道を少し進むと、その場所には目を疑うような光景が飛び込んできた。


「なっ、何事!?」


その場所には、4人程の少女達がいた。


よく見るとその中の1人は、哀れもない姿をしていたのだ。


ナナは、信じたくない気持ちと衝撃的な感情で、身体が強張るのがわかる。


「これは一体… 」


思わず声が漏れる。


その姿は、肩から大きく服が破れ、スカートも横から裂けていた。


その足には何も履いていなく、少し血が滲んでいた。

首から上だけは、綺麗なままを保たれていた。


(ん? 何だろう? 変だな… )


ナナはその出立ちに、不自然さを感じた。


何よりも衝撃的なだったのは、少女が笑っていた事だった。


しかし、身体は小刻みに震えていた。


(育ちは良さそうだけど… )


その中の1人が、ナナへと言葉を放つ。


「お姉さん、何?」


「あ… いや… 」


ナナは少し尻込みした。


しかし、今までの自分とは違う。

あの世界の自分とは違う。


そう思いながら、その震えそうになった拳をグッと握り締めた。


(このままじゃダメだっ… )


ナナは自分の為に、そう思ったのかもしれない。


しかし、今その目の前にあるソレを黙って見ている未来の自分が許せなかったのだ。


「フェアじゃないっ! やるなら、タイマン張りなぁっ!」


「え? ははっ、お姉さん何言ってるの? おかしいね」


「あ… 」


(なんか言葉間違えたっ!)


ナナは元の世界で、間違えた知識を入れていた。


ふとTVで流れたあるシーン。

ヤンキー物だった。


するとナナは、咄嗟にある物を出した。


「よし、これをやろう」


そう言いながら、ナナはあろう事か懐にあった全財産を渡してしまったのだ。







最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

(基本歌は歌っていません)

今後、作者が聞きながら執筆した楽曲をその都度、参考までに載せておきます。もちろんお好きな曲を聴きながら、楽しんで読んで頂けるといいと思います。

あまり、ボーカロイド音楽を聴いた事がないので、何かオススメなのがあれば、メッセージ等下さると嬉しいです。(ピアノの旋律がある物だと尚、嬉しいです)

文章に乱れや疑問がある場合もメッセージ等頂けると嬉しいです。

また、心ばかりの評価なども頂ければ大いに喜びますので、宜しくお願いします。

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