1,プロローグ
この作品を開いてくれてありがとう!!
厨二ソウル全開で書きました。公開はありません!!キリッ(黒歴史確定)
―――side???―――
心地良い。
”ここは?”
意識を浮上させた私が真っ先に感じたことだ。
微睡みの中、瞳を開ける。どうやらここは水の中の用だ。この瞬間、私は”夢だ”と思った。理由はない。ただ漠然とそう感じただけだ。
揺れる水面が光を溢す。微かな温かみを感じる。月明りに揺れる水鏡。水中だというのに、だが不思議と冷たくはない。不思議だ。力も入らず動くことが出来ない。浮きも沈みもしない。ただ漂っている様だ。いや、少しずつ…ほんの筈かにだが水面に浮かんでいっている。苦しさは無い。そもそも呼吸すらしていない。私は生きているのだろうか。改めてここは夢の中だと結論付けた。
ここは何処だろう?次第に思考が鮮明になり、ふとそう思った。その時…。
???『やっと目覚めたか。』
???『ははっ!随分とお寝坊さんだ』
何処からともなく声が聞こえたが姿は見えない。
誰だろう?誰かはわからないが恐怖はなかった。むしろ安心感を不思議と感じた。だから私は改めて問いかけた。
???『あなた?達は誰ですか?』
???『この状況でなかなか落ち着いるね。将来大物になりそうだ。』
しかし帰ってきたのは意味のない言葉。思わず顔を顰めてしまう。
???『ああ、ごめん。私達は…うーん…そうだね。まぁ…味方…かな?』
???『むしろ怪しさが増したがな。だが、そうだな安心するがいい。味方であることに偽りはない。』
帰ってきたのは二つの言葉。一人は優しい中性的な男性の声色で、何処となく軽薄な人に感じる。しかし嫌な感じを感じないのは、短いながらに私のことを大切に思う気持ちが伝わってくるから。もう一人は威厳のある勇ましい男性の声色。軽薄な男を諫めている。私を心配そうにしている雰囲気から声色と裏腹に誠実な人の様に感じる。
誠実そうな男『呆れられているぞ。』
軽薄そうな男『ええ…本当かい?おかしいなぁ…』
誠実そうな男『貴様のせいだぞ。』
誠実そうな男『ごめんってば。』
彼らは私を無視して会話を続けている。不安と温かい不思議なイラ立ちが私を支配する。眉間に皺が寄る。私は瞳を閉じて少し硬い声色で私は問いかけた。
???『ねぇってば。』
誠実そうな男『…っとすまない。どうしたのだ?』
???『なんでもない…。』
私を謀る気配は感じない。どことなく困っている様子だ。
軽薄そうな男『そうだね…やっぱり仲間…志を共にする同志かな?』
軽薄な男が会話を繋ぐ。
???『ふーん。そう…。』
軽薄そうな男『ごめんね。そうだよね。いきなりこんなことを言われても混乱するよね。』
別にもう気にしていないのだが男たちは勘違いしているようだ。訂正するのもめんどくさい。都合が良いのでそのまま会話を続けた。
???『大丈夫。』
誠実そうな男『そうか。すまないな。』
軽薄そうな男『ごめんね。』
???『あなた達が謝ることじゃないよ。大丈夫。』
今さらながら私はまだお互いに自己紹介をしていないことに気づいた。
???『ねぇ。あなた達は名前はなんていうの?私は…あれ?』
苦笑をする軽薄な男
軽薄そうな男『あぁ、そうだね。そういえば、まだ自己紹介をしていないね。僕達は…』
誠実そうな男『どうせ忘れる。我々の名前を知る意義は無い。』
軽薄な男が答えようとしたが、誠実な男が被せてきた。どうやら名前を教えることに否定的の様子だ。
誠実そうな男『ふん…言い方を変えよう。我等と貴様が出会うのはこっれっきりなのだ。』
軽薄そうな男『まぁ、そうだけど…』
???『そうなの?』
どうやら私達はこれっきりらしい。会えないのか…でも。
???『でも…じゃぁ、なんて言えばいいの?』
そう。結局これに戻るのだ。
誠実そうな男『好きにしろ。』
軽薄そうな男『君に決めて欲しいな。』
私に決めて欲しいとは。それならば…
???『チャラ男と…』
チャラ男『どっちがかは、わからないけど。それ以外がいいかな!!』
どうやら不満らしい。
誠実そうな男『感性が独特なのか。我等が嫌いなのか。それはわからんが悪意を感じるな。』
???『むぅ、なら名前を教えてよ。あと、あなたじゃないよ。』
誠実そうな男『うむ。なら問題ないな。』
チャラ男『良くないよね?!』
わがままな男だな。普通に教えてくれても良いと思うのだが…。しかし困ったな。それならば…
???『女声の方が…』
女声『女声!?』
意地悪で女声と言ったら。過剰反応された。うるさい。
???『うるさい…わかったよ。そうだね。決めた。ブラッド…かな』
ブラッド『…ッツ!!ま、まぁ、まだましかなぁ~?』
頭に浮かんで来た言葉を伝えたら。一瞬絶句?された。何故だろう?
???『どうしたの??』
ブラッド『なんでもないよ。大丈夫。』
???『そう…』
中性的な男性改めブラッドは、どう見てもなんでもなさそうでは無かったのだが直ぐに元の軽薄な雰囲気に戻ってしまった。明らかな作り笑顔もう深く聞ける雰囲気では無くなってしまった。
???『で、貴方はぁ…ヴァン…かな?』
ヴァン『そうか…ヤツとのやり取りで予想はしていたが。そうか、それで良い。』
誠実な人改め、ヴァンはなにやら達観した様な感じに感じるが、こちらも深く踏み込める雰囲気では無い。
???『そっか。じゃぁ、改めて、ブラッド、ヴァン。志って?同志ってなに?』
ブラッド『あぁそうだね。やっと説明が出来るよ。』
ヴァン『会話を進められるな。』
そして二人の雰囲気が突然真剣なモノに変わる。
ブラッド『突然で本当に申し訳ない。そして謝罪したい。これから話す話は、貴様には選択肢は無いのだ。それを謝罪したい。』
ヴァン『本当にごめんね。そして、ありがとう。目覚めてくれてありがとう。』
???『どういうこと?』
しかし結局放たれた言葉は意味不明なもので意味がわからない。
ブラッド『君は…貴女は今から目覚める。そう目覚めるんだ。そしてその時に貴女が迷わない様に、困らない様に貴女に今、伝えたいんだ。知っていて貰いたいんだ。』
ヴァン『貴様が困惑しない様に簡潔に伝える。学べ。そして強くなれ。仲間を…友を作れ。育てろ。』
???『んん??』
もはや困惑しかない。簡潔に伝えられた結果、困惑しかない。しかし彼らは止まらない。
ブラッド『わかるよ。でも困惑するかもしれないが覚えてて欲しいんだ。』
ヴァン『しかし、それ故に重要なのだ。世界は無慈悲で残酷だ。だから強くなれ。強くなければダメなのだ。』
ブラッド『世界を旅して信頼できる友を見つけるんだ。』
???『どういうこと?聞きたいことが沢山ありすぎて困ってる。』
あまりにも漠然としすぎていている。
ブラッド『一つ一つ答えてしっかりあげたいんだけど時間がないんだ。ごめんね。』
???『どういうこと?』
ブラッド『あらゆることに貪欲に…と言ってもこれも漠然としてるね。まずは生きる為の術を。大丈夫。君は君の心に従えばいい。だから混乱しないで欲しい…でもそれだけでは足りない。それだけでは生き残ることが出来ないんだよ。』
???『????』
もうわけがわからない。
ヴァン『わからなくていい。そういうものだと覚えておけば良い。』
???『じゃぁ、どれくらい強くなればいいの?』
ヴァン『生きとし生けるものの中で一番強くなれ。最強…そう最強の頂まで強くなれ。なぁに大丈夫さ貴様ならなれる。』
ブラッド『でも、ただ強くなればいいわけじゃないよ?』
???『どうして?』
ブラッド『それはいつしかわかるよ。でもそうだね。わかりやすく言うと、”英雄になる為”かな。』
これだけ話を聞いてもさっぱりわからない。ただ、どうやら私には過酷な運命が待ち受けている様だ。目覚める前に心が折れそうだ。
???『この先の私に待ち受ける未来が鬱なんだけど。このまま寝てていい?』
ブラッド『あはは。無理だよ。時間がない。』
???『めんどくさいよ。』
ヴァン『すまない。』
???『で?仲間を探す?作る?理由は?』
ヴァン『一人では出来る事は限られるからな。』
???『あぁ、なるほどね。』
これは理解出来る。やっと理解出来る内容って、一周回って笑える。
ヴァン『そして育てるのだ。』
???『育てる?私自身が教えて…育てて欲しいんだけど?私だって学ばないといけないんでしょう?』
ブラッド『それは最初はね…でも目が覚めれば、いつか君は…皆の導き手なる筈さ。』
???『導き手???なにそれ?まぁ、もういいや。』
ブラッド『今はそれでいいよ…さて、そろそろ時間だね。』
???『えぇ…もう?』
ヴァン『あぁ、お別れだ。』
どうやらお別れの様だ。
話の終わったから瞳をあけて回りを見渡す。瞳を閉じている間に自身が水面に大分近づいている。そして近づく速度がどんどん上がっている。何処からともなく小さな泡が体に纏わりつく。さらに水面に上昇する速度が上がる。苦しい。あまりの苦しさに手足を”バタつかせる”。先ほどまでの心地と良さが夢の様に感じる。あまりの苦しさに体が動くことにも気付かず空気を求める。
???『?!?!』
ヴァン『達者でな。』
ブラッド『頼んだよ。』
声がだんだん遠のいていく。しかしそれどころじゃ無い。しかし確かに、しかと聞こえた。魂に焼き付く様な力強い声が。心に沁み渡たる様な温かい、そんな贈り言葉が。
???『我願う。汝、強き英雄になれ。誰よりも強い英雄に。』
???『我謳う。まだ見ぬ英雄達に。絆を力に数多の英雄たちを友に。』
???『我らが希望よ。』
???『我らの導き手よ。』
???『たとえ那由他の災いが立ちはだかろうとも。』
???『たとえ永遠の絶望が道を塞いでも。』
???『運命を切り開け!』
???『未来を掴み取れ!』
???『願わくば我らの悲願を。』
???『願わくば我らの祈りを。』
???『汝の道に幸運があらんことを』
???『汝の旅にどうか祝福があらんことを』
???『…さぁ起きて?お目覚めの時間だよ?』
そして私は水面に打ち上げられた。
???『…ィァ…』
最後に…誰かの声が聞こえた気がした。
―――side??? end―――
―――side??? あとがき―――
???『行っちゃったね。』
???『そうだな。』
水面に浮かぶ二人の男がいる。片方は健康的な白い肌で、毛先の所処が鮮血のような深緋色をした白銀色の髪の優男が、浅葱色にも翡翠色にも見える瞳を携え悲しそうな寂そうな表情をしている。よく見ると瞳の中に瑠璃色円環が見える。もう片方は褐色の肌で、黄金の如く輝く髪をした、太陽の燃える唐紅色の瞳を携えた男が、慈しむ様な優しい表情をしている。こちらは、瞳の中に山吹色の円環が窺える。
姿も表情の対照的な二人だが視線は水面を見上げている。どちらも人間離れした容姿が相まってとても幻想的に見える。
???『君が名前を隠すとか余計なことをしているからだよ。』
???『それは貴様もな。我等の記憶は残らない。そう設計したのは他ならぬ貴様であろう。』
???『それでも良いじゃないか。僕らの子供みたいなモノなんだよ。むしろ子供より近い存在なのは君も、わかっているだろう?』
???『やめろ。気色悪い。それに姿を見せないまでして徹底したのだ。今さら、その様な中途半端なことなど出来るか。』
???『それはそうだけど…でも名前を…』
???『しかたあるまい…あの娘と我等は魂で繋がっているのだ。計画に変更はない。チャンス一度きりなのだ。失敗は許されない。』
二人の会話が軽口が止まらない。じゃれているようでとても仲がよいことが、信頼しあっていることが窺える。しかし、その姿が段々を薄れていく。二人が向かい合う。
???『我等も時間だな。』
???『そうだね。次に会う時は全てが終わった後。』
???『またはもう二度会うことは無いかもな。』
???『やめろよ。縁起でもない。』
銀髪の男が憤慨する。しかし金髪の男は止まらない。
???『あの子が死ねばそれまでだ。』
???『だからよせって。あの子は必ずやってくれる。』
???『どうだかな…部の悪い賭けなのは貴様もわかっているだろう。』
???『それはそうだけど…でも僕は信じてるよ。なんたって僕の娘だからね。』
???『だから不安なのだ…』
???『ひどいこというなぁ…まぁ、いつまでも寝ていたあの娘もやっと目を覚ましたみたいだし本当に良かったよ。まったく誰かさんみたいにマイペースで困るよ。』
少し険悪な雰囲気に感じるが、やはりじゃれあっているように感じる。
???『ブラディアド、喧嘩を売っているのか?幼き頃より、幾重と貴様とは喧嘩をしたが、まだ理解出来ていないようだな。幾星霜と貸した借りも返していない貴様が、な。』
ブラディアド『ヴァルガンド、やめてくれ!その話は今する話じゃ無いだろう!それに喧嘩は負けていないだろう!!』
ヴァルガンド『クックック。ブラディアドそういうところだぞ。』
ブラディアド『くッ…』
どうやら銀髪の男…ブラディアドは、金髪の男…ヴァルガンドに頭が上がらない様だ。
ヴァルガンド『ではな。我が弟よ。また会おう。』
ブラディアド『さよなら…兄さん。またいつか。』
そして二人の姿は完全に薄れ見えなくなった。
そして誰もいなるなる。元から誰もいなっかたかのように…月明りが静かに水面を揺らしている。揺蕩う光はいつまでも…いつまでも…永遠に優しく包みこんでいく。それは夢幻の如く、いつまでも。残酷に。
―――side??? end―――
最後まで付きあってくれてありがとう。
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