我は追放する、おまえをな!
最近話題の追放物に乗ってみました。でも、ざまぁとかないです。そして短いです。
「アッシュ、ただいまを持って、貴様を追放する!!!!!!」
そうか、ついにこのときが来たか。
俺に追放を宣言した、リーダーのサブ。
前々から俺のことを見る目つきがおかしかったからな。
「私も賛成よ。あなたの居場所はここには無いわ」
回復役のミリも追随してきた。
「そうだな、この決定は仕方ないと思う」
魔術師のザッコスも同意した。
「そうか・・・、わかった。俺は出て行くよ」
「ああ、さっさと出て行ってくれ!」
こうして俺は、“3日”に渡って一緒に冒険したチームから追放されたのであった。
追放されるのは、実はこれが初めてでは無い。
この数年間、俺とチームを組んでくれる冒険者たちは何人も何十人もいてくれた。
しかし皆、依頼から戻ると必ず俺をチームから追放した。
一体、俺の何が悪かったのだろうか・・・?
何度尋ねても、誰も教えてくれない。
ただ、「おまえを追放する」としか言ってくれない。
せめて理由を言ってくれれば、俺も解決しようと頑張れる。
でも、誰も理由を言ってくれない。
なぜなんだ・・・
何が悪かったのだろうか・・・
今回受けた依頼は、常設依頼の「ゴブリン退治」。
新人の腕試しや、チームに入ったばかりの新入りの実力を確認するためによく受注されている依頼の一つ。
だから、俺の実力を知ってもらおうと頑張ったつもりだった。
辺り一帯のゴブリン退治という依頼内容だったから、”この大陸中の”ゴブリンを退治した。
道中歩いていたら何ヶ月もかかってしまうから、飛行魔法でメンバーまとめて高速飛行しながら見つけ次第紐付き矢で射殺・回収。
野営では、疲れてはいけないからと亜空間に収納している家(王城相当)を出して、精のつく料理(王の生誕祭以上)を振る舞った。
もちろん、魔物よけのための結界は常設してある。
食材費とかの諸経費は、依頼途中で見つけたヒュドラや黒龍、エルダートレントなどを解体して売った利益の一部で十分おつりが来るから気にする必要も無い。
そのかいあってか、一回でのゴブリン退治数としてはギルド最高記録になった。
だが、たかがゴブリン退治に3日もかけたのがいけなかったのだろうか。
他の冒険者たちは大抵その日のうちに帰ってきていたからな。
そうか。
俺の仕事ぶりが遅すぎたのか。
確かに、半日で終わる依頼に3日もかけていたら、別れたくもなる。
くそっ、もっと精進しないと!
今回の依頼も、途中の黒龍に1匹5秒もかけてしまったから、群れを殲滅するのに10分もかかってしまった。
エルダートレントも、燃やさないように丁寧にしすぎたかもしれない。だからトレントの森を刈り尽くすまで20分もかかってしまった。
いや、その後の収納か? 全部収納するのに20秒、は確かに遅いと言われても仕方が無い。
これらを無視すればもう半日は早く依頼を終えたのだろうが、そうなると依頼の報酬より諸経費の方が高くなってしまうので、背に腹は代えられなかった。
もっと精進しなければ!
元チームメンバーたち
「あ…ありのまま起こったことを話すぜ。
俺たちは街周辺のゴブリン退治を受けたと思ったら空を飛んでいて、黒龍の群れに突っ込んでいったんだ。
そしていつの間にか王城で豪勢な飯を食っていた…と思ったら元の街に居て、3日経過していたんだ。
な、何を言っているのかわからねーと思う。
俺たちも何が起きているのか分からなかった…。
頭がどうにかなりそうだった。
ただ、この新入りを見ていると何故か体が震えてくるんだ…。
だから、別れるしかないと思ったんだ!!!」
イメージとしては、半日ずっとジェットコースターに乗っていて、止まったと思ったらお城での会食。冒険者たちの精神が持ちません。
某有名人状態が3日も続けば、魂に何かを刻み込まれるのかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
※2022/2/28 日間ランキング63位に載っていました(´Д`)
※2022/3/30 いつの間にか月間ランキング26位に載っていました・・・
多くの方にお読み頂いた上評価まで頂き、ありがとうございますm(_ _)m