ダレかのユメ
ふわふわとした場所にいた。
周囲はぼやけていて、どこにいるのかはよくわからない。
周りは何やら騒がしく、なんと言っているかの判別まではできないが、周囲になにかの存在は感じ取れた。
ここはいったいどこなのか。それはわからないが、先ほどまでの場所よりかはずっと幸せを感じられる空間だった。
そういえば、先ほどまでの場所ってどこだろうか。そもそもここはどこなのだろうか。
私は順に思い出してみる。
そうだ。あの寂しい場所に紅い眼の少女がいて、それで──。
私は死んでしまったのだろうか?
ここは死後の世界なのだろうか?
それはわからない。
でも、ここはいい場所だ。
寂しさを感じない。
できることならずっとここにいたい。
でも、きっとそれはできないことなのだろう。
幸せはいつか終わる。
きっとこの場所もそうだ。
だったら、きっとこれは幸福な死後の世界なんかじゃなくて、ただの夢に違いない。
夢はいつか目覚める。
この時間ももうすぐ終わる。
きっと目覚めたら何も覚えてはいないのだろう。
この暖かさも、この幸せも。
なんとなくそれだけは確信していた。
次に目覚めるのが、またあの世界なのか、それとも違う世界なのかはわからないが、その先で再び眠るとき、またこの夢を見られたらいいと、私はただ、そう思った──。