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私の処女を命懸けで奪ってください
ああ、これはいつもの夢だな
意識はしっかりとあるが、どこがフワフワとした不思議な感覚。
太陽も地平線に沈む間際、場所は砂浜だ。昼間は青く透き通った海が、夕焼けを反射してオレンジに輝いてる
「ねえ、あっくん」
この場には僕と目の前の少女の二人きり。少女は目深に麦わら帽を被り、白のフリフリのついたワンピースをきている。少女は僕に背を向けながら、僕を呼ぶ。
「どうしたの?〜〜ちゃん」
夢の中の僕は彼女の名前を口にするが、ノイズが走ったように僕には名前が聞こえない。
「大きくなったら」
彼女は振り向きながらこういった
「私の初めての人になってね」
映画のワンシーンを切り取ってそこだけを再生しているように、夢はいつもここで終わる
「ふわ…おふぉわよお」
あくびを噛み締めながら言ったせいで、もはや原型をとどめていない挨拶に目の前の親友は満面の笑顔で挨拶を返してくれる
「おお、おはよう!相変わらず淳は朝弱いのな」
「そうかな?あっちゃんが元気すぎるんだよ」
彼の名前は伊庭昭如
ツンツンヘアにニカッと笑ったときに出る八重歯が特徴的な幼なじみである。