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銀河を翔ろ!  作者: 巻神様の下僕
序章 新米軍人編
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第5話 進学

 今回は危なかった!


 敵中央を突破したら、案の定待ち伏せされてました。

『あ、これは死んだな』と思ったものの何とも出来ないなと思っていた自分がいた。


 敵は戦車を持ち出しており、自分達は歩兵のみの編成、対抗出来る手段は手持ちのブラスターで発射出来る最大威力に上げるか。

 もしくはボムに頼るのみ。

 もう一つは接近して腰に差しているセイバー(光線サーベル)で斬り突けることだけど、それだけ接近出来るならボムを使ったほうが、まだ安全だな。

 接近出来た時点で安全とは言えないか。


 それに戦車にブラスターやボムが通用するだろうか?


 幼年学校で学んだ時は通用する場合もあるとしか書いてなかったし、実際の戦車に乗った事もあるが、とてもではないがブラスターやボムが通用するとは思えない。


 なんて事を考えていたが、目の前の戦車の砲身が光を帯びていた。


「ちゅ、中隊長ー!話が違いますよ!」


 分かってるから怒鳴るよ曹長。


「落ち着け。あれなら痛いと思う前に死ねるよ」


「何でそんなに冷静なんだよ!どうするんだよー!」


 だからうるさいよ。最後に見苦しく足掻いてもしょうがないじゃないか。


「人間、諦めも必要だよ」


「やっぱり付いて来るんじゃなかったー!!」


 周りがわーわーと騒がしいな。


 あ、あれ何だ?


「このまま死ぬくらいなら敵に突撃しましょう!中隊長!行きますよ。いや行くんですよね!行きますからね!」


 その必要はないみたいだよ曹長。


「曹長。空を見なよ」


「は?」


 曹長が呆けた顔をして俺を見た瞬間、地面が揺れて爆炎が一面を覆った。


「どあー!」


「伏せろー!」


 伏せろと言う前に伏せた俺を抜かして、後ろにいた曹長を含めた兵達は、爆発による爆風をもろに受けて吹っ飛んだ。


「おお、綺麗だな」


「ちゅ、中隊長~」


 俺が目の前の光景に心奪われていた時、曹長以下兵達は気を失っていた。


 そう言えば作戦で『ある程度敵を引き付けたら、爆撃する』って言ってたな。

 今まで支援砲撃とか貰った事が無かったから、何だかんだで爆撃はしないんじゃないかなと思ってたよ。


 案外、上層部もやる気があったんだな。



 皇歴2993年 10月某日


 惑星バルダウにて貴族による反乱が起きるも鎮圧される。


 皇軍陸軍第5軍第104大隊第502中隊


 中隊長アスカ タチバナ中尉


 第502中隊を率いて敵を引き付ける囮役を務め、これを成功させる。


 尚、中尉任官後日が浅い為、昇進は見送り。


 本人の希望を入れて、一級平民資格を与えるものとす。




 いや~ねだってみるもんだね~


 まさかこんなに早く一級平民資格を貰えるなんて思ってなかったよ。


 何でも初陣と今回の功績で『大尉任官は間違いなし』って言われてたんだけど、年齢が若い(現在17歳)のと中尉任官後直ぐの事だから、昇進は一年後くらい後だと言われたんだよね。


 そんで昇進はさせられないけど、何か欲しい物は有るかと人事部の少佐が言ってきたので『一級平民資格を下さい』と言ったら簡単にくれたのよ。

 もっと時間が掛かると思ってたけど、ついてたな。


 やっぱり俺は間違ってなかった!


 そして、もう一つだけお願いしてみたけどどうなったかな?





 惑星スメラギ


 皇軍陸軍第5軍人事部 事務局



「大佐。このような要請書が来てますが、どうなさいますか?」


「何々、タチバナ中尉の仕官学校入学手続き、だと?こいつは誰だ?」


 女性型アンドロイドの秘書官が持ってきた電子ファイルに目を通した大佐は、要請部分には目を通したがアスカの経歴には目を通さなかった。


「約三年前に幼年学校を主席で卒業後、惑星ルスターの反乱鎮圧に功績の有った者です。その後、各惑星を回った後に今回のバルダウの反乱でも功績を上げています」


「ほう、運の良い者のようだな。だが、どうして今さら仕官学校を望む。主席で卒業したのなら、その時に行けば良かっただろうに」


 もっともな疑問を持った大佐に秘書官はアスカの経歴に補足を入れる。


「タチバナ中尉は卒業前は二級平民でした。今回の功績で一級平民と成ったようです」


「ふん、成り上がりか」


 大佐はアスカが二級平民と聞いたとたんに気を悪くした。


「気に入りませんか?」


「平民風情がいい気に成っておるようだな。困ったものだ。幾ら功績を上げたからと簡単に一級資格を与えるとはバルダウの連中は何を考えておるのか」


 更にぶつぶつと独り言を呟く大佐に秘書官は更に報告を行う。


「実は彼の一級資格に関しては、彼が以前いた部署から推薦状が送られていたようです。それも加味された結果だと思われます。もしかしたら逸材ではないでしょうか?」


「何を言っておる!」


 大佐は拳を握り机に叩き突けるが、机が固かったのか手を痛めて少しだけ痛そうな顔をした。

 しかし、手の痛みは直ぐに引いたようだ。

 ナノマシンは優秀なのである。


「こやつが卒業したのは、あの!あのスメラギ幼年学校だぞ!あの名ばかり有名な、あのスメラギだぞ!」


 近年と言うか、ここ一世紀ばかりのスメラギ幼年学校の卒業生はとにかく酷い人材が多かった。

 例を上げればキリがないほど多くの失敗例が上げれられ、宇宙軍、陸軍を問わず本当に酷い人材が多かったのだ。

 その為、スメラギ幼年学校を主席で卒業したと言われても懐疑的な目で見られてもしょうがないのである。


 因みにアスカはそんな懐疑的な目を向けられていた事には気付いていなかったようである。


 大佐は言うだけ言うと息を荒くしている。

 秘書官はそんな大佐を見てやれやれと思考しながらも話を先に進める。


「それで、どうなさいますか?バルダウの人事部では既に申請が許可されておりますが?」


「私の話を聞いておったのか!」


「話は聞いておりましたが、この件を片付けて頂けなければ、次の仕事が貯まる一方ですよ」


 興奮する大佐に冷静な秘書官。


「ふん、どうせ仕官学校に行っても恥を欠くだけだ!」


「本人が、ですが」


「許可を出した私が恥を欠くではないか!」


「大佐は許可を出すだけです。それに仕官学校に入学する生徒が何人居ると思うのです。その中の一人が酷い成績を取ったところで、大佐や人事部を悪く言う者は居りますまい」


 興奮していた大佐は秘書官の冷静な言動に少し平静さを取り戻した。


「ふん、そうだな。何千人の中のたかが一人が恥を掻くだけの事だな。そうだな」


「その通りです」


 大佐によく出来ましたと言いたそうな秘書官であった。


「よし、許可してやる。後で取り消しとか出来んようにしてやれ」


 憮然とした表情で許可を出した大佐であったが、当然内心は不満であった。


「はい、分かりました」


 秘書官は満足したような笑みを浮かべ頷くと携帯端末を使って次のファイルを大佐のデスクに映し出す。


「では、次です」


 大佐は写し出されたファイルを見てため息を吐く。


「少しだけ休憩せんか?」


「駄目です」


 大佐のお願いを笑顔でバッサリと封じる秘書官であった。


 後に、ある貴族がアスカの仕官学校入学に関して取り消すように軍に要請したが、既に受理されていた為に要請は却下された。




 皇歴2994年 4月某日


 スメラギ仕官学校前


 ほう~ここが仕官学校か~


 一言で言えば、広すぎる!


 何でも一都市まるごと学校なんだとか!?


 まぁ、あれだよ。


 これもお貴族様のせいなんだと!


 仕官学校には多くのお貴族様が集まるので、そのお世話をする人達も一緒に付いてくるから、生徒の人数以上の人が集まるようになったとか。

 それで周りに建物が立てられたんだけど、皇族の一人が入学した時に部屋が狭いと言ったとか、言わなかったとかで、本来は寮生活を送る筈なのに、皇族専用、お貴族様専用の宿舎が建てられた。


 それからはもう平民との格差が凄い事になってしまって、お貴族様と平民は勉強以外で会う事は無くなったと言う話だ。


 そんなどうしようもない仕官学校に俺は来てしまった。


 本当なら故郷のスメラギ以外の仕官学校に行きたかったのだが、基本的に本籍の有る惑星で勉学をするようにと、法律で決まっているのでしょうがない。


 惑星スメラギには仕官学校はここしかないからしょうがないのだ!



 ただ、幼年学校とは違って仕官学校はかなりまともだ。


 教官達もお貴族様だからと甘やかしたりはしない。

 平民もお貴族様も勉学だけは平等だ。

 賄賂や、圧力は通用しない。


 そこだけは良かった。


 良かったのだが、今年の入学生の中に賄賂や圧力を掛けてもおかしくない人物が居る。


 そう、皇族の一人が入学してくるのだ。



 まぁ、俺には関係ないだろうけどな。


 ははは、はーはっはははー!


お読み頂きありがとうございます


誤字、脱字等御座いましたら、お手数ですが誤字報告でご連絡ください


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― 新着の感想 ―
[一言] この申請の大佐は、名を残すか疎まれるか・・・ どっちなんでしょうか。
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