【第七話 次の街へ】
【第七話 次の街へ】
Fランク大会の全ての部門で同ランククリアを達成した。
これでFランクに拘る必要が無くなった。
心置きなく育成することが出来る。
ここから先は結構余裕があるからな……Fランクだけシビア過ぎるだろ。
まず最初にやることは新しいモンスターの召喚だ。
数に拘る事もランクに拘る必要も無い為、上のモンスターを呼びたい。
そして、残っている勲章を獲得する。
それが終われば次の街へ行って更なるレベル上げとEランク大会への参加だ。
1つ上のランクで召喚が可能なのはウルフ系とホース系の2種類。
序盤の相棒率が圧倒的に高い狼と移動でお世話になる馬は常に人気がある。
どちらもここで採用する。
お金は少し怖いが……馬は移動でしか使わない予定だし、大丈夫だろう。
【種族】ウルフ
【名前】(E)
【レベル】/100
【HP】8/8(D)
【MP】6/6(D)
【ATK】38(C)
【DEF】3(E)
【INT】4(E)
【MND】4(E)
【AGI】46(C)
【スキル】
・なし
【種族】ホース
【名前】(E)
【レベル】/100
【HP】10/10(D)
【MP】5/5(D)
【ATK】3(E)
【DEF】49(C)
【INT】3(E)
【MND】5(E)
【AGI】34(C)
【スキル】
・専用鎧
馬専用の鎧が装備可能
・馬車移動
馬車を接続した場合、短い時間で移動出来る
うーん………結構悪い結果だな。
どちらもぎりぎりEランクって感じだ。
運が良ければDランクに近いステータスになる。
てか、Eランクのステータスが存在しないこともあり得る。
両方とも固定上昇部分以外はほぼ最低値、ランク戦の事を考えると合成行きだな。
とは言え、次のランク戦までは結構時間がある。
しばらくは一緒に戦う以上は名前を付けてあげる必要がある。
狼の名前はシフ、馬の名前はニルだ。
神話だったりゲームからの引用だが、これが一番しっくりくるからしょうがない。
今はまだ名前負けしているが、いつかは名前に相応しい存在になってくれよ?
シフとニルのレベル上げが終わった。
途中ニルの餌が足りなくなって焦ったが、それ以外は問題無く終わった。
どちらもDランクに近いステータスとなり、かなり頼れる存在になっている。
頼れる存在になったなら、やる事はただ1つ。
残っている勲章の回収だ。
1撃クリアとノーダメクリア、今ここで全て終わらせる。
何回見ても埋まってないのが気になるからね、しょうがない。
周りを見ると結構な数のプレイヤーがいない。
この街周辺は敵が弱く、経験値効率は最低だから当然だ。
普通のプレイヤーなら5レベルくらいまで上げたら次の街に行く。
その方が効率が良いし、どこの攻略サイトにもそう書いてある。
長々とこの街に留まるのは完全な初心者とマイペース派とコンプ派とFランク廃人だけだ。
そう考えると結構多くの人が残っている。
物思いに耽りながらも戦闘は続く。
圧倒的なステータスの差を覆すには数的有利しかない。
けど、上限は決まっていてお互いに同じ数を出している以上、勝敗は決まっている。
シフが遊び、隙を作る。
そこにニルが突進をする。
それで敵は全て1撃で倒すことが出来る。
いや別にシフが倒しても1撃なんだが、ウルフ系は格下相手に遊ぶ癖がある。
プレイヤーのランクが一定以上あれば命令で従わせる事が出来るが、低いとたまに命令の範囲内で遊ぶ。
今回の場合だとわざと手を抜いて甚振る可能性がある。
1撃で倒すことを目指しているのにそんな遊びをされたら困る。
だから、手加減なんて出来ないニルの突進で倒している。
まぁ、そんな感じで残っている勲章は全て回収した。
一番難しいのを最初に終わらせると、後は楽だからいい。
一気に進んでいく感じはある種の快感を覚える。
さて、これでこの街の用事はほぼ終わった。
Fランク大会チーム部門の勲章を全部同時に達成するって夢があるが、これは大分先の話だ。
本編クリア後のやり込み要素を序盤にやる馬鹿はそうはいない。
β版でそれをやって痛い目を見た俺はちゃんと学習している。
もう無茶な事はしない。
街を出て、次の街へ移動しようとすると見知った顔が街に戻ってくるのが見えた。
あれはFランク廃人達だ。
挑戦する為の資金稼ぎを名目に速攻で次の街へ進んでいたはず……。
まさか、もうクリアしたと言うのか?
「チョメチョメさん、お久しぶりです」
「ん?おぉ!ディーノさん、お久しぶりです」
「次の街に行ってたんですよね?」
「えぇ、そうです。とりあえずAランク大会のシングルを優勝したのでお金はもういいかなーっと」
「早いですね……これから厳選を?」
「もちろん、その為に戻ってきたわけですから。ディーノさんは?」
「バラバラにですけど、Fランク大会勲章コンプしましたので次の街へ移動する所ですね」
「いやいや、そっちも人の事言えないくらい早いですよね。まだサービス開始日ですよ?」
「このゲーム、育成だけはお手軽ですからね……。本気でRTAやってる人は数時間でAランク行きますよ」
「クリアだけなら簡単なんですけどね……。ここからが最高に面白くて最高に難しい」
「ですね……。これ以上はお邪魔でしょうし、お互い頑張りましょう」
「えぇ、ディーノさんがここに戻ってきて一緒に頭抱える日を待ってますよ」
「し、失礼な。1発でクリアしてみせますよよよよ」
「声震えてますよ」
お互いに笑い、手を振って別れる。
思わぬ再会にテンションが上がった。
自分よりも苦しいことやってる人が頑張っているのを見ると、自分も頑張ろうと思える。
さぁ、あの人達に、あの廃人達に追い付く為にも次の街へ行くぞ。
7話で漸く会話する主人公ディーノ君。