某地方密着型セールスマンの嘆き
お偉い営業本部から委任された、パリッとしたスーツを着た都会の外部委託のセールス専門指導者が、地域密着型で田舎のじいさん、ばあさんにしかほとんど話をしたことのないセールスマンに「イケイケドンドン、とにかくガンガン契約を取って来い、ハンコをもらって来い、契約の多さがお前の価値の基準だ」と、脅し気味に迫る。
それを見ている旧来の支店の上司は不安に思っても、営業本部には逆らえないし、都会から来たセールス専門指導者には、口ではかなわない。
「言い過ぎでは、やらせ過ぎでは」と言いたくもなるけれど、そんなことを外部委託のセールス専門指導者に言おうものなら、「あそこの支店の上司はやる気が感じられない」と、本部に報告されてしまうのも怖い。
かくして閉鎖的な昔からの店は、こんな雰囲気に浸される。
・本部の営業方針を守って、何が何でも、契約を取る。
・目標達成が第一。
・コンプライアンス違反は、ばれたら、ごまかせばいいし、みんなでやれば個人へのの責めは少ない、共同責任。
・みんな客をごましても、書類をごましかしても、契約をごまかしても、支店の成績をあげているし、自分たちの支店だけではない。
・目標達成が、できなければ自爆になるけれど、それも自分たちの支店の仲間も、他の仲間も全部やっていること、自分だけ、自分たちだけ正義を貫いても意味はない。
・馬鹿らしいと思っても、それが仕事、仕事を辞めれば親・兄弟が恥をかく。
一番得したのは、高い報酬を得て、問題が発生すれば「知らぬ存ぜぬ、そんな指導はしていない」と、さっと逃げる都会出身の外部委託のセールス専門指導者。
「金はもらった、指導はたっぷりやった」
「後は野となれ山となれ」
表面的には心配しているフリをするけれど、契約が切れれば、後は「何のこと?」
次のエモノを探すだけとなる。
まあ、口だけは達者だから、田舎者を騙すなどは、天職。
正直者は馬鹿を見る、いや結果的に、正直者に馬鹿を見させるのが、彼らの天職なのかもしれない。




