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文字と実物
たとえば、目の前の机。
足が四本、色が濃いブラウン、大きさが・・・と説明をするにしても、実物を見ていない限り、本当の様子はわからない。
説明を聞く人、読む人は「ああ、あんな感じかな」と、自分の過去の記憶に沿って「想像」するだけになる。
そうなると、「想像」は、その人なりの「実物」を思い浮かべるので、机も本当に同じ机を思い浮かべるかどうかは、わからない。
原始キリスト教では「聖書第一主義」を掲げる一派もあり、「口承第一主義」を掲げた一派もあったようだ。
ただ、現実的にあの膨大な聖書を、人間が全て暗記するのは無理。
そのため実務上として聖書が普及することになった。
ただ、その聖書の文言を、聞き、読む段階で、それがどこまで「実物」として「理解されうる」のか、なかなか難題である。




