表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時々、感じるようなこと  作者: 舞夢
174/192

もしこの決断がなかったら

なるほど、生前の大老はとかくの評判のある人ではあったが、ただ、他人に真似のできなかったことが一つある。外国交渉のことにかけては、天朝の威をもおそれず、各藩の意見のためにも動かされず、断然として和親通商を許した上で、それから上奏の手続きを執った。この一事は天地もれない大罪を犯したように評するものが多いけれども、もしこの決断がなかったら、日本国はどうなったろう。軽く見積もって蝦夷はもとより、対州つしま壱岐いきも英米仏露の諸外国に割さき取られ、内地諸所の埠頭ふとうは随意に占領され、その上に背負しょい切れないほどの重い償金を取られ、シナの道光どうこう時代の末のような姿になって、独立の体面はとても保たれなかったかもしれない。大老がこの至険至難をしのぎ切ったのは、この国にとっての大功と言わねばなるまい。こんなふうに言う人もあった。ともあれ、大老は徳川世襲伝来の精神をささえていた大極柱の倒れるように倒れて行った。  

 (夜明け前 島崎藤村)


天下の一大事にあたって、もちろん、短慮は危険極まりない。

しかし、時には井伊大老のような独断専行が功を成す場合もある。

いたずらに旧弊をありがたがり、世界情勢に対して思考停止した攘夷派の意見を気にして円満解決を求めていては、日本に起こりうる危険に、間に合わないと、井伊大老は、決断したのではないか。


この「いざ」という時の決断力も、政治家や経営者には、欠かせない資質。

果たして、現代の政治家と経営者が、どれほど、井伊大老のような決断力を持っているだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ