いわゆる残業問題
電通事件以後、残業問題がマスコミ報道に増えた。
政府担当大臣や所管の労働基準監督署も、発言を増やしている。
ただ、当の電通を含め、残業時間が是正される状態にはなりえないと思う。
いろんな要因がある。
一つは経営者の意識。
経営サイドとしては、コストを極力抑え、利益を拡大することは責務である。
となると、割高な時間外手当は払いたくない。
しかし、利益を拡大するための実績は必要、他社との競合もある。
少々の「違法」は目をつぶる、見なかったことにする。
もし、発覚しても、罰金、是正勧告、酷ければ役員の首は飛ぶが、一時的なもの。
いつのまにか、その役員本人が復帰することも多い。
少しの間、神妙な態度を取る(実際は同じような残業を続けていても)だけで、またマスコミは騒がなくなる。
まあ、自分の社がマスコミ報道されても、そんな程度だから、報道されなければ全くサービスを残業させ放題になる。
もう一つは、働く社員の問題。
とにかく、横並び意識が強く、「残業や休日出勤は美徳」風の意識を持つ場合もある。
それも、数十年、先輩諸氏からの伝統だと言われる。
残業時間を数時間過ぎていても、
「自分より早く帰る部下は許せない」
「ロクな成果もないのに、早く帰るとは何事か」
「なぜ、夜討ち朝駆けして、より良い成果を求めないのか」
「お前に愛社精神はあるのか」
「昼間ぼーっとしているから、ロクな成果が出ない、出ないなら出るまで働け」
「ああ、人事部に怒られるから、残業の申請は認めない」
特に成果主義を強調する会社において、こういう傾向が強い。
しかし、現実は、たいていの会社も、五十歩百歩である。
日本人全員の仕事に関する意識が変わらない限り、残業問題は解決しない。