動物愛護主義者の怒りと嘆き
とある家電量販店でのこと。
砂漠の民ベドウィンが羊を処分して、客人(おそらく遠方から)と、にこやかに食事をしている映像が、テレビに映し出されていた。
おそらくシルクロードの記録映像らしい。
その映像を見ながら、怒っている人がいた。
「まあ・・・なんと可哀想なことを」
「ベドウィンは野蛮人なんですね」
「こんな民族は滅びるべきです」
「国際的な動物愛護組織はないのかしら」
「もっと世界の人は、声を大にして、こんな非道なことをやめさせないと」
その人の連れらしい人が呆れていた。
「だって、ベドウィンの長年の伝統だよ」
「あんな砂漠の地で、野菜はないよ」
「水だって、滅多にない」
「彼らだって、必死に生きていると思うけれどなあ」
「それを滅びてしまえとか、そのほうが残酷では?」
「君だって、刺身食べるでしょ?」
「ラーメンにはチャーシュー乗っているでしょ?」
しかし、その怒りと嘆きは収まらないらしい。
「可哀想に、殺されて食べられて・・・」
「本当に野蛮ねえ・・・全く・・・」
聞いている限り、動物愛護主義者は、その主張を変えなかった。
羊の命、豚の命、魚の命、人間の命には、序列があるのだろうか。