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「はあ、はあ、はあ。くそ!!キリがねえぞ。どんだけいるんだよこいつら」


四方を人型と四本足のロボットで囲まれている状態の中で俺はひたすらにロボットを切っていた。


「こいつらどういうわけか知らんが俺がどこかへ行こうとすると止めるくせに、切っても反撃すらしてこねえ。どういうことだ」


俺の周りには大量のロボットだったものが転がっている。


「なあ、セキゲン」


『どうした』


「今お前が俺に話しかけてるってことは、俺の力の制限とやらは解除されているってことか?」


『ああ』


「じゃあさ、俺は今なら何になれるんだ?」


『なんだってなれる。そこら辺の石やビル。銃に剣。空気にだってなれるぜ』


「まじかよ」


『ただ気をつけろよ。使い過ぎると使えなくなるからな』


「どういうことだ?」


『今あんたの身体に浮かび上がってる模様あるでしょ?』


「これがどうした?」


『それはエネルギーの残量を表しているの』


「エネルギーの残量?」


『力を使うとそれに応じてエネルギーが消費されていくわ。あんたは現時点で三回龍になってる。龍みたいなでかいものになると必然的にエネルギー消費量も多いわ。あんたの残量は八割よ』


「まじか。神獣システムって欠陥だらけじゃねえの?」


『でもこれを使っているうちは貴方は転生者の能力によるダメージは最小限に抑えられるうえこの神獣の力で転生者を攻撃した場合、攻撃は無効化もされず防御もされないのよ』


「それはすげえな」


『ただこの神獣の力自体を使ってもエネルギーは消費されるから使い過ぎは良くないわ。ただ使う瞬間だけね。使っている最中は消費されないわ』


「まじかよ。じゃあ陽介さんやばくね?」


『彼はこのことを知らない。だから、身体の模様が減っていても気にしてないわ。現に彼の腕の模様は消えていたし彼の残量は五割を切ってるわ』


「やべえじゃん」


『なんか動き始めたわ。気をつけなさいよ』


「はいよ」


ロボ達は全員持っている銃を身体にしまい別の銃を取り出した。

四本足は、全身の武器を全て自身の胴体部分にしまい、数秒後、先ほどよりも明らかに多い銃器を取り出し銃口を俺に向けていた。


「俺がターゲットってか?まずいな。………なあセキゲン」


『なんだよもう』


「この状態で転生者以外の攻撃受けて大丈夫だっけ?」


『問題ないわ。弾丸なんて肌が痒いくらいで済むわ』


「じゃあ問題はねえな」


『ただ攻撃を受ける時ダメージを最小限にするためにほんの少しだけエネルギーを使うから、何兆何京と撃たれ続けたら死ぬわ』


「さすがに兆単位で来ることはないと思うが、出来る限り温存しておかないとな。…………そうだ。身体の一部を何かにするってことはできるか?」


『ええ』


「よし。左手、盾となれ。…………何も起きねえぞ」


『イメージが足りないのよ。強くイメージして。自分の手の平が盾になるように強くイメージするの』


「…………」


ゆっくりと左手の形状が変わっていく。

やがて俺よりも大きい盾に俺の手がなった。


「よし、来い!!」


『今ので残り七割九分九厘よ』


「たったの0.1%か」


俺の手が盾になったと同時に俺に向かってロボット達が撃ってきた。


「そういえば四方八方にいるんだよな!!」


俺は盾を最初使っていたが全方向からの弾丸やミサイルは当然防げず、結果的に龍になって攻撃をすることにした。


「まどろっこしいんだよ!!」


叫ぶと空気の塊が俺が叫んだ方向へ飛んでいく。

そこにいたロボット達は潰れバラバラになっていった。


「初めっからこれ使えばよかったな!!」


『この姿でいればエネルギーを使うことなく銃弾のダメージを抑えられる』


「鱗のおかげか!!」


俺は四方八方に叫び続けた。

数分すると俺を囲んでいたロボット達はただの機械のクズになり果てた。


「よし、全部破壊出来たな」


『お疲れ』


「このままあいつらのところへ行こう」


羽を使ってゆっくりと上昇し、国全体を飛びながら見回した。

しかし一輝や近衛、多治見や陽介さんは見つけられなかった。


「屋内にいるのか?」


俺は近くの巨大なビルの上で休む事にした。

俺の今の体重は人間の時の何十倍何百倍とあるはずだが、ビルは崩れる様子がない。

耐久力はなかなかのものらしい。


「ひとまず、どうするか。………一旦戻るか。セキゲン、どうやってもどるの?」


『は?あんた今までどうやって戻ってたの?』


「全部殺されて戻った」


『そうだったわね。簡単よ。自分の姿を思い出せばいい』


「分かったよ」


自分の元の姿を思い出し、イメージする。


「………………戻った」


左右の手、足………あるな。

顔を触って確認…………目、鼻、口、顔全体の輪郭、髪の毛………あるな。

服は…………無いな。


『ねえ、どうやって降りるの?』


「あ」












「クソが!!」


『消えろ』


俺を覆っていた炎を消した。


「焦げくせえ」


「あはは、そうかそうか。神獣は多少なりともダメージはあるんだよね」


「そうみたいだな」


俺の身体の所々には小さなやけどがあるのを見ると最小限に抑えるってだけみたいだな。

100から1以下には出来ても、決して0には出来ないってわけか。


「まああれだけの大きさの炎で全身包まれてもたったこれだけならいいと思うがな」


「でもまあ、服はボロボロだな。ご自慢のジャージが大変な事になってるぜ」


「いいんだよ。命あるだけでもありがたい」


「お!!なんか龍が飛んでる!!かっけー!!」


「……………亮」


「お!!なんだあれお前のペットか?」


「仲間だ」


「あれも転生者か?すげえな。龍になれるなんて!!」


「お前らだってなれるんだろ?」


「確かになれるぜ。だけどなろうとは思わない」


「何だそれ」


「だって考えてみてよ。戦闘においてどうしてわざわざ的を大きくする必要があるんだ?狙いやすくなっちゃうじゃん」


「まあな」


亮はさっきからずっと旋回しているが何を探しているんだ。


「そういえば、お前と俺。いまは誰にも見えてないから」


「……………そうか」


「多分彼、いや彼女?あの龍は君たちを探しているんじゃないか?」


「亮は男だ。確かにそうかもな」


あいつがもし仮に俺たちを探していたとしても、肝心の俺たちはあいつからは見えていない。

なるほど、だったら何度も旋回してあちこちを見ているのは納得がいくな。


「でさあ、君とお話がしたいんだ。梶田一輝君」


「さっきも聞いたよ。してるじゃねえか」


「もっと別のところでさ」


「嫌だね」


「じゃあさ、あの龍ぶっ殺すって言ったら?」


「お前を殺す」


「ははは、無理無理!!今の君じゃあ誰も殺せないよ。弱っちいし」


確かに今の俺は弱い。

さっきのアレを食らって実力の差がはっきり分かった。

正直神獣システム使っても今は勝てるかどうか分からねえ。


「確かに俺は弱いよ」


「認めるのはいいことだ。自身の今の立ち位置を客観的に見られるのは好感が持てるよ」


「お前の要求は聞く。ただこいつらをどこか安全なところに置いておきたい」


「さっきの龍はいつの間にかどっか行っちゃった。……………お!!あそこにいたか。あいつのところに預けて来なよ」


「そのまま帰ってこねえかもしれねえぞ」


「ははは!!僕から逃げようなんて無理だ。君がどこにいるかすぐに分かるし」


「それもチートってやつか?」


「まあそんなところだ」


俺は悔しいが亮がいるところをあいつから聞いてそこに向かった。


「本当にいた」


「おお一輝!!二人は大丈夫か!!?」


「ああ。二人はここだ」


俺は自分の作った腕で覆っていた彼女たちを亮に渡した。腕を増やして移動したせいでいささか可動域が狭まった。ちょっと動かしづらい。


「俺は今からちょっとやることがある。二人を頼む」


「なあ一輝」


「どうした?」


「俺、降りられないんだ。降ろしてくれ。あと服もくれないか?


「…………分かった」


俺は亮たちを掴んでビルを降りた。

手を使って壁伝いにゆっくりと。

そして俺の服をコピーして亮に渡すと亮はその場でそそくさと着替える。


「じゃあ頼む。宮殿に行けば大丈夫だと思う」


「任せろ。肩に二人を担げば問題はない」


「頼んだ」


「ああ」


俺は急いであいつがいるところへ向かった。










「ふう。さて、ひとまず宮殿に向かおう。ここは非常にわかりやすくていい。この異常なまでに広いこの道路を歩けば必ず宮殿に着くんだからな」


二人を肩に担ぎ歩き始める。

しかし、静かだ。

俺たちが入った時に比べて明らかに静かだ。

ここの住人は全員避難したのか?

でも何処へ?


『おい亮』


「何だセキゲン」


『周りを見ろ』


俺は言われた通り周りを見回す。

少し前に見た連中がまた俺を囲もうとしている。


「やばいな。急がねえと!!」


俺はできる限り走り囲まれる前に逃げようとしたが遥か先からもロボット達が群れて来る所を見て諦めた。


「おいおい、待ってくれよ。ずっと前から囲まれてたってことか?」


俺が立ち止まることを知っていたかのように銃口を向けているロボット達が俺を囲んだ。


『単純に囲まれていたんだよあんたは。ずっとね』


「そうか。で、どうするか。ここをどうやって抜けよう」


「ん〜?あれ?亮?」


「多治見!!起きたか!!」


「ここどこ〜?」


「道路だよ。俺たちは今絶体絶命ってやつだ」


「ん〜?あれ?亮くんじゃん!!」


「近衛も起きたか!!」


「何これ?…………みんななんか私たちに向けてるよね」


「ああご名答だ。俺たちを敵視してる」


「何で分かるの?」


「俺はちょっと前にこいつらに攻撃された。危うく死にかけた」


「まじ?」


話している間に数が増えていた。

先ほど壊したやつとはまた別のやつがちらほらといるな。


「これどうする〜?」


「話してる間に増えちゃったね!!」


「俺が見たことないやつもいるな」


「まじ〜?」


「どうしよっか!!?」


「とりあえず、お前らは退がれ。俺が引き受ける」


「あほでしょ〜。こんな数一人で対処できるわけないじゃん。あっしもやるよ〜。サポートで」


「私も頑張る!!」



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