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混乱

「数はどのくらいだ!!?」


「分からないわ!!四方から城壁を壊して侵入しようとしてる!!」


「避難勧告は!!?」


「出してあるわ!!」


「地下に連絡、装備はタイプ一三四。一人五機の操縦。四足は半数のみ準備、三足及び大型は相手の戦力次第で使用する」


「分かった!!」


「一輝、亮。君達は二人の救出に向かえ」


「初めからそのつもりだ。行くぞ一輝!!」


「ああ!!」













『進行状況は?』


『現在南側が最も進んでいます』


『少しの手練れそれと五足を一機残して南に残りを集めろ』


『分かりました』


『総員に告ぐ!!五足を一機、精鋭を残し残るものは皆南に集まれ!!』


『もう少しで南を突破!!』


『装備二二八。やつらと違って我々は生身だが心配は無用。必ず全員生きて帰ろう』











『絵里様!!正面南門、突破されました!!』


『直ちに配属。相手はどんな装備かわかるかしら?』


『歩兵そして五足が十七機です!!』


『四足を十七機投入!!歩兵急いで!!』














「一輝、どうやって戻る!!?」


「任せろ!!」


今回はディリアじゃなくて俺が仕切らせてもらう。


『自動詠唱』


「生えろ!!」


俺の背中から俺の左腕と同じように黒く輝く長くそして細い腕が生えていく。

ちゃんと四本あるな。動作は……………ちゃんと動く!!


「亮!!」


「何だうわっ!!」


背中の腕の内の一本が亮を掴む。

よし、何とか亮までの重さだったら一本で持てるな。


「ここからこの腕使って移動するぞ!!」


「どうやって!!?」


「脚力大幅強化。いけるかな」


まず目指すは目の前のビル。

ここの屋上まで行かねえと。壊れるなよ、俺の足。


「飛ぶぞ!!」


「待て!!」


………どんどん地面が遠くなっていく。

ここまでは予定通りだが問題は…………。


「思ったよりは飛べてねえな」


人間の足をどんなに強化したって限度はあるよな。

明らかに屋上より低い高度で、俺は自身の背中に生やした腕の内二本で眼前のビルの壁を掴む。

あとはこのままの勢いであの壁に突っ込めば。


「亮!!あのビルに突っ込むぞ!!」


「待てよ!!」


「返事は聞いてる暇はねえ!!」


全力でビルの壁に体当たりをしたことで壁に穴が開き、俺たちは中に入った。

…………あちこちに破片が飛び散る。


「亮、大丈夫か?」


「二度とやりたくないな」


「ここから着くまでずっとこれで移動だ」


「マジかよ」


俺たちは辺りを見回すが誰もいない。

そこは不思議な静寂で満たされていた。


「……………」


しかし妙だな。

中に入ってみたはいいが、もう何年も前から使われてないみたいだ。


「一輝、ここは機能していない」


「お前もそう思うか?」


「ああ。先ほどまで使用されていた感じがしない。もっと前から使われてないみたいだ」


あの時見たビルと別のビルだがやはりあの時見た様子と全く似ているな。


「なんかあるよなここ」


「多分あの人は俺らに言ってないことが山ほどある」


「俺が体当たりで穴を開ける前にもうなんかの破片が落ちてたしな」


壁の破片とはまた違った色の破片が床全体に散らばっている。

壁の内側に何かがあり、それを破ったというわけではないはずだ。


「うおっ!!」


「っ!!」


突然の振動によって俺たちのいる場所が少しずつ傾いていく。


「………おいおい、傾き始めてねえかこれ?」


「一輝!!急いでここを出るぞ!!下から破壊されている!!」


「何でわかるんだ!!?」


先ほどの体当たりで出来た壁の穴から亮が下を覗く。

そして見たまま俺をを手招きした。


「なんかあったのか?」


俺は亮の横で彼と同じように下を覗いた。


「…………何だあれ!!」


俺たちのいるビルの根元に向かって銃やミサイルなどを撃っている五本足の兵器が何体もいた。


「あの五本足の兵器がミサイルか何かでこのビルを下から撃っているんだ」


「急ぐぞ!!」


俺たちは自分たちのいるところとは真逆の場所へ走り出す。


「脚力強化、限界突破!!」


正直足が壊れるのは嫌だが、足でも壊さないとここから別のビルに飛び移るのは無理だ。

苦渋の決断だったが俺は足を壊す方を選んだ。


「亮、行くぞ!!」


「またさっきのか!!?」


「ああ」


ゆっくりと崩壊していくビルを尻目に俺たちは宙を舞っていた。

間に合ったが、飛びすぎたうえに足は折れ着地は出来ない。


「亮!!…………亮?」


後ろを振り返ると先ほどまで一緒にいたはずの亮の姿がなかった。おまけに亮だけじゃなく、亮を掴んでいた手ごと消えていた。


「まずは止まらねえと!!」


どこか掴まないと!!


「ここだ!!」


目の前にある先ほどよりもはるかに小さいビルの壁を俺の背中の腕が掴む。


「しっかり刺さってるな?」


止まったということは、しっかりと刺さっているということなのだろう。


「…………あれ?俺さっき腕四本出したはずだよな?力の使いすぎで消えた?いやそんなはずはねえ。………何だ…………切り口?」


何が起きてんだ?








「切ったよー」


「すっげえ!!」


「これでいいんだよね?肇おじさん」


「ああ。問題は無い」











俺の目の前で俺を掴んでいる黒く輝く腕が切り落とされた。

俺はそれに掴まれながら地面に落ちて行く。


「神獣を使ってみるか!!服なんかどうでもいい!!まずは右胸の円から剣の柄が出てくるのをイメージ、そしてそれを引き抜く!!…………まずい!!間に合わない!!ぶつかる!!」


『心配するな』


……………何だ?

いつの間にか地に足がついている。これが神獣の力か?


『そうだ』


さっきから誰だ。俺に話しかけてくるやつは。


『あんたのなりたいものになる力、セキゲンだ』


セキゲン?


『あんた前ディリア見たでしょ?』


それがどうした。

…………お前が俺の神獣というわけか。


『さっきから言ってるじゃん』


何だ?

だんだんと足音が近づいてくる。

………後ろか?


「何だこれ…………」


目の前には四本の足を持つ兵器が何台か、そして大量の銃で武装した人型の何か。

俺を見ているがこいつら何かするつもりか?


「セキゲンだったか。お前の力で何とかならないか?」


『無理』


俺の後ろにも目の前の部隊と同じような部隊が現れた。


「早く助けにいかないといけないんだよ!!さっさと終わらせる!!」


『気をつけなよ。あんた私を出したの初めてでしょ?』


「だからなんだ?一輝だって初めてだったがあそこまで使いこなしているじゃないか」


『まあいいや』


「お前は生贄とかは必要ないのか?」


『あんなのあいつらだけさ。私たち神獣は何も取ろうとしないよ』


「分かった」


俺は眼前の人型を斬りつける。

斬られたそれは赤い液体が流れ出ることはなく、機械がショートしたような音を出してその場で倒れた。


「…………ロボット?人間ではないのか?………なら殺す覚悟なんて必要ないな。ただただ壊すだけだからな!!」












「ちっ!!亮がどこに行ったかわかんねえ」


足を治し、あちこちを探し回った俺だが、亮を見つけることができなかった。


「…………すまない亮、必ずお前を探しに戻ってくる!!近衛と多治見を早く見つけねえと」


しかし、俺の力で作った腕をぶった切ったやつは誰だ。

おそらく転生者なのは間違いないが、いくら探しても見つからねえ。


「っ!!あれは、俺たちの部屋があるビル!!崩れ始めてやがる!!」


眼前のビルが少しずつ傾き始めていた。


「やべえ急がねえと!!」


中に入って近衛と多治見の救出をすることだけ考えろ!!


「…………あった!!あの部屋だ!!」


俺は自分たちがいた部屋を見つけた。


「届け!!」


腕を伸ばして………。


「掴んだ!!」


俺は背中の手を使い部屋に入る。中は静かだ。


「…………おい、近衛!!多治見!!どこだ!!?おい!!返事してくれ!!おい!!」


まずい、早く見つけねえと崩れて下敷きになっちまう。


「おい!!どこだ!!?二人とも!!おい!!!やばい!!もうもたねえ!!」


「二人なら僕のところにいるよ?」


「…………てめえ誰だ」


崩れて行く部屋の中にいきなり現れたそいつは俺を見ると微笑んだ。


「キモ」


何だこいつは。


「ひとまず部屋から出ることをお勧めするよ」


「言われなくても分かってる!!」


俺は急いで部屋を飛び出し、隣のビルの屋上に飛び移った。


「君ってアホだね」


「何だと?」


「だって僕のとこにいるって言われてすぐに部屋出ちゃったでしょ?もし僕のとこにいなかったら、君は彼女たちを見捨てたってことになるんだよ?」


「っ!!騙したのか!!?」


「簡単に信じる方が悪いよ。でもまあ、今回はちゃんとお助けしましたよ。ほら」


目の前の男の両肩に近衛と多治見は抱えられていた。


「さっきまで見えてなかったでしょ?これも僕たちチートのなせる技!!実に素晴らしいだろ!!?」


「分かったから二人を返してくれ」


「君はどこまで愚かなんだ?素直に返すとでも?大間違いも大間違い!!君はどこで生まれどこで育ったんだ!!?簡単に人を信用しちゃダメだって教わらなかったのかいぼく〜!!?」


「条件は何だ?」


「あら随分と冷静。…………なるほど、君はぼくを信用していないからこそ早く二人をぼくの手から離したいってことか。いいよ」


「随分あっさりだな」


「君には色々聞きたいんだ。梶田一輝君」


「何で俺の名前知ってんだ?」


「お二人から聞いたんだよ。この二人からね」


「早くその手を離せ」


「スマンスマン。ほら、どうぞ」


俺は彼女たちを背中の腕で受け取る


「あれ?直に受け取ってはくれないんだ」


近づくと何されるか分からんしな。

…………二人とも何かされたってわけじゃなさそうだ。


「用心深いねえ」


傷の有無を確認した俺は腕を変化させ彼女たちを頭からつま先まで完全に覆った。


「でだ、一輝くん」


「何だ?」


「君たちに嘘を言ったのは、誰かね?」


「嘘?」


「ああ、嘘だ。誰だ?」


「何が嘘で何が真実かわかるほどここに居ねえからよ。分かんねえや」


「そうかそうか。じゃあ」


彼は俺の視界から消えた。


「どこだ、どこにいる!!?」


「君に教えてあげるよ。この世界の真実をね」


そういった彼は俺の頭の上で佇んでいた。


「人の頭の上に乗るんじゃねえ!!」


足を掴もうとするがかわされてしまった。かわした彼は浮いている。ふざけた野郎だ。


「さあさあ、バトルと洒落込もうじゃないか。小童!!」


「お前だって大して歳変わんねえだろ」


「一度言ってみたかったんだ」


「遠慮なく使わせてもらうぜ」


「神獣システムか。いいよ」


『燃えろ』


目の前の彼が完全に見えなくなるほどの炎が上がる。


「ひどいなあ」


「!?」


先ほどと全く変わらない姿で彼は笑っていた。


「こんなの食らったら間違いなくステーキになっちゃうじゃないか」


火の中でも全く何にもなってないってことは、ダメージはなしってことか。


「魔法……かな?」


「そうだ」


「甘いよ甘い。本物を見せてあげるよ」


手をゆっくりと俺に向けてかざす。


『爆破』


俺が先ほど出した炎の何十倍と大きな炎に俺は包まれた。


「くっ!!!なんだこの火力!!二人は!!?」


「対象は君しかとってないから、ダメージは君にしかいかないよ」
















「久々だな、陽介」


「……………久しいな、翔」


「今日は宣戦布告を言い渡しにきた」


「何だと!!?」


「準備は出来た。俺たちはお前ら相手に戦争を起こす所存だ」


「待て!!同じ過ちを繰り返すつもりか!!?」


「過ちで終わらせない為にやるんだよ」


「何!!?」


「お前の国に新しい転生者がきたんだってな」


「何故それを!!?」


「バレてないと思ったのか?まあいい。あいつらは俺たちがもらう」


「させるかっ!!?ぐふっ!!」


動く前に彼の懐に忍び込み腹に短刀を刺す。


「神獣を使わせる前に攻撃を仕掛ける。これが最もお前にとって有効な手段だ。大丈夫、殺す気は無い。ただただ、眠ってもらうだけだ。お前の腕に刺したこの剣だが、刀身には薬をしこたま塗り込んである」


「く………そ……が……」


「いい夢を」













『絵里様!!』


『どうした!!?』


『操縦桿が効きません!!』


『どうして!!?』


『分かりません!!突然全機体の動きが停止しました!!』


『……………待って!!誰か!!急いで地下へ向かいなさい!!』


『どうされましたか!!?』


『大型、三足、四足の全機体の出撃準備が勝手に整ってる!!』


『そんなことはありえません!!そもそも電源すら入れていないんですよ!!?』


『誰かが繋げたのよ!!急いで!!あれを使ってしまったら、また戦争に発展する!!』


『三足、四足の全機体、出撃しました!!』


『急いで止めなさい!!』


『もう無理です!!』


『全歩兵、装備零零一に変更されました!!』


『陽介に連絡!!大型だけは絶対に出撃させては駄目!!全力で止めなさい!!』




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