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準備

「落ち着いた?」


「すまんな、取り乱して」


「気にすんなよ。俺だって今家族に会ったら間違いなく号泣しながら抱きつくぜ」


「俺もそうだよ」


翔と泰晴はそう言って俺たちを気遣ってくれた。


「……………二人とも、良かったら教えてくれないか?お前らの言う本当ってやつを」


「いいだろう」


「まず一つ、戦争を仕掛けたのは俺たちじゃねえ。あいつらだ」


「………………」


「まあ続けよう。仕掛けさせたのは他でもねえ、俺たちがクソジジイと呼んでいるやつ。筧氏肇(かけいしはじめ)だ」


「そいつはまだ小さかった春と航平をさらい、二人を返す代わりに戦争を起こすよう言ってきた」


「何故戦争を起こさせたかったんだ?」


「分からん。ただ一つ言えることはあいつにとって俺たちは邪魔だってことだ」


「……………それでお前たちは戦争を起こしたってことか?」


「俺たちもあの時はまだ若かったせいで、ホイホイとあいつの言うことを聞いちまった」


「二人は無事帰ってきた。俺たちは戦争を起こしたくはなかったから、あいつとの約束を無視した」


「その結果、あいつは自国の金のない奴らに金を払って自国を攻撃させ、あたかも俺たちが仕掛けたように見せた」


「で、俺たちは攻めこまれた。当然何の対策もしていなかった俺らは遅れを取り、俺たちが動き出した時にはもう国の五割近くがあいつらに奪われていた」


「俺らは頑張った。持てる技術と俺たち転生者の力を使って作戦を立て、武器を作った。五割奪われていた時から数日で奪われた国土の三割を取り返した。…………その時だ。陽介とクソジジイが攻めてきたのは」


「あいつらは容赦なく攻撃を仕掛けてきた。結果、俺と泰晴が守っていた国は何とかなったものの、春と航平のいた国は滅んだ」


「待て、陽介はお前らのうち二人を殺したと言っていたぞ?」


「春と航平をあいつは殺したと言っている。だが実際はあいつは俺たちが作ったダミーを殺してそのまま去っていったからな」


「死体を持ち帰るぐらいの周到さがあったなら話は変わっていただろう。だけどあいつはそこまで警戒心が強いわけじゃなかった。故にあいつはダミーを刺してそれを口頭で説明しただけなのだろう」


「…………今のがお前らの真実か」


「そうだ。ああ、信じなくてもいいぜ」


「は?」


「だってよ、話を聞いてすぐ信じるなんてバカにもほどがあるだろ。…………そういえば、お前はバカだな」


「……………確かに俺はお前の理屈だとバカに入るな」


「さて、話は変わるが、お前には強くなってもらわねえといけねえ。誰にも、俺たちにも負けないくらいになってもらわねえとな」


「…………やってやるよ」


「よし、やろうか。今から」


『ーーーーーーーー!!』


泰晴が何かを言うと三つの人影が俺の目の前に現れた。


『ーーーーーーーー』


『ーーーーーーーーーーーー!!』


『ーーーーーー』


「挨拶はそこまでにして、はじめよう!!」


「待ってくれ、この人達は何て言ったんだ?」


「…………お前、この世界の言葉分からない感じ?」


「ああ」


「…………予定変更だ。一輝、ついて来い」


突然歩き出した泰晴の後を追う。

少し経つと正方形の白い箱の前で俺たちは止まった。


「この中に入れ」


「ああ」


言われたように俺はその箱の扉を開け中に入る。

中から外は見えない。


「ここで勉強してもらうぜ。安心しろ、飯も出るしトイレも風呂もベットもその中に入ってる」


声は聞こえるな。

…………おお、明かりがついた。

…………すげえ、ベットやらトイレやらが全部ある。


「俺ベットじゃ寝られねえんだけど」


「じゃあ、敷布団に変更しておく。せいぜい頑張れよ、特別講師の鬼軍曹付きだぜ」


おお、ベットがなくなった。


「次お前が俺たちを見るのは一週間後ぐらいだな」


着替えは、下着だけあるな。

まあ最悪誰にも見えてなさそうだから、下着で過ごすっていうのも考えておこう。

…………え、一週間後?


「じゃあな」















「ーーー、ーーろ、ーきろ、起きろ!!」


「うひゃあ!!…………亮くんおはよう」


「おはよう」


「久留美もおはよう」


「顔洗ってこい」


「うんそうするね!!」


彼女は洗面室へ駆けていく。


「さて、今日は…………お前はどうする?」


「もちろん陽介さんのところに行くよ〜」


「そうか」


「亮はいかないの〜?」


「もちろん行く」


「お待たせ!!」


「お前はどうする近衛、陽介さんのところに行くか?」


「うん!!行くよ!!朝ごはん食べて着替えたらね!!」


「早くしろよ。あとお前だけだから」


「…………へ?」


「あっしら一時間ぐらい前にもう準備済ませてあるからね〜」


「急げー!!」


「落ち着け」














「…………まあ、もともと俺はお前らを鍛えるつもりだったからな。だがまあ、お前たちがやる気になってくれてよかったよ」


「ええまあ。それより陽介さん、後ろのそれはなんですか?」


「ああ、これは武器だ。お前らにまず最初にやってもらうのは武器の決定だ。今からお前らにこいつらを使ってもらう。そして一番しっくりきたやつを選べ。それをお前たちが神獣で作り出せるように、また使えるようにしろ」


「私はもう決まってますよ!!」


そう言って近衛は真っ先に陽介さんの後ろに行き山積みにされた武器の中から迷わず一つを取り出した。


「私は銃がいい!!」


「そうか。じゃあ近衛は銃を使いこなせるようにしろ。お前たちはどうする?」


「あっしも銃かな〜。ネトゲで使ってたし〜」


「俺は…………やはり接近戦が一番肌にあっていると思うから………刀だな」


「分かった。では取り敢えずはその武器を使ってロボたちを倒せ。一人1フロアずつ作った。神獣は使うなよ」


「「「分かりました」」」















「…………終わった。終わったぞ!!ついに習得したぞ!!」


「お疲れ様でした。開錠します」


「軍曹ありがとう!!」


久しぶりに外に出た、いい天気だ。

空気が美味しい、明るい。


「よお、終わったか」


「ええ。終わりました。長かったですよ」


『じゃあ早速行くぞ』


『分かりました』


『おっ!!流石だな鬼軍曹、やっぱ教え方がちげえな』


『まあ厳しかったですよ。これから戦闘練習ですか?』


『ああ。お前が前に会った三人組はうちの国の中で最も強い三人組だ。お前には今からあいつらの全てを吸収してもらう。そして完璧に使えるようにしてもらうぞ』


『期間は?』


『なんだ、期限があれば燃えるタイプか?』


『そっちの方がダラダラせずに済む』


『では二ヶ月だ』


『分かった』


『最初に何から学ぶ?剣術、体術、銃の扱い。どれがいい?』


『剣術から順に頼む』


『了解。おい、センテア!!』


『何かしら?』


『頼むわ』


『分かったわ』


泰晴は俺の目の前から消えた。


『はじめまして、私はセンテア。あなたの剣術の先生よ』


『俺は梶田一輝。一輝って呼んでくれ』


『一輝、まずは貴方の力を見せてもらうわね』


『ああ!!』


俺は神獣を取り出そうとした刹那俺の左腕は掴まれピクリとも動かなくなった。

掴んできたのは目の前にいるセンテアだ。


『これ使って』


彼女は腰にさしていた太刀を抜き、俺に差し出す。

俺がそれを受け取ると、彼女は俺の左腕から手を離し、数歩後ろに下がった。


『貴方のその力、確かに強いけど頼りきりでは駄目。使わなくても私達三人を相手できるくらいにしろって泰晴たちに言われてるの』


『分かった』


俺は鞘から引き抜く。

取り出した刀身は鮮やかな紫色をしていた。


『綺麗だな』


『でしょ?ここでしか取れないこの世界で最も硬い物質で作った刀よ。斬れ味も一級品よ』


『じゃあありがたく使わせてもらうぜ!!』


彼女に斬りかかる。


『貴方は相手が誰であろうと躊躇しないのね。好きよ、その思い切りの良さ』


彼女は余裕の笑みを浮かべ俺の攻撃を避ける。


『駄目ね。駄目駄目だわ』


『せめていなせ!!』


『この程度いなす価値もないわ』


絶対に当ててやると意気込んで刀を自分なりに振り回す。


『当たらないわよ』


彼女はさらに片目を閉じたが、それでも俺の攻撃は一回も当たらない。


『だったら』


俺は一回攻撃を止め、深呼吸をする。


『何かする気?居合かなにか?』


『いや、俺が習った太刀筋を使ってみる』


俺は再び彼女に向かって斬りかかる。

先程よりは彼女の余裕が無くせた気がした。

その証拠に彼女は閉じていた目を開けて避けていたがそれ以外は何も変わらなかった。


『さっきみたいなデタラメな太刀筋じゃないわね。どこで習ったの?』


『俺は生前俳優に憧れててよ、それこそ演技練習は毎日してた。その中でも殺陣が好きでな、ほぼ毎日やってたからそれをそっくりそのまま使ってみたんだよ』


『なるほど。演技で使う為のものを戦闘に使うなんて、練習していた時の貴方は思わなかったでしょうね。先ほどのめちゃくちゃな、それこそ子供と同レベルの太刀筋よりはまだマシになったけど、まだまだね』


『はあ、はあ、はあ。なんとかなりそうか?俺って』


『貴方のいいところは自分の持っているものを何でも戦闘に使おうとする器用さ。まあ、頑張ってみるわ』


『本当か!!?お願いします!!』


『覚悟してね。貴方がさっきまでやってた軍曹が天国に見えるから』


『まじかよ』


『二十日で終わらせるわ。貴方を殺す勢いでやるから、貴方は私を殺す気でやりなさい』


『はい!!』

















「はあ、近衛はすごいな」


「そうだね〜。銃も剣も使えちゃうなんて」


「運動神経だけは自信があるよ!!」


「俺も頑張らねばな」


「あっしはきゅうけ〜い」


鍛え始めて一週間が経った。

この一週間はひたすらどんな武器を使うかを決めていた。最終的に俺は剣、槍などの接近戦で使うもの、そして近衛は全般、多治見は銃などの遠距離で使うものに決まった。


「はあ、これだけの武器を極めるには一体どのくらいの時間が必要なんだ?」


「全部は極めなくていい。最終的には二個三個ぐらいで留めろ。それを極めればいい」


「じゃああっしは、これとこれでいいや〜」


彼女が手に取ったのはアサルトライフルとスナイパーライフル。


「遠くからあっしは狙うよ〜」


「まあ狙撃できる奴が一人いれば、作戦の幅も広がるからいいかもな」


「でしょ〜」


「私は………これとこれとこれとこれ!!」


近衛が手に取ったのはアサルトライフルとショットガン、太刀にナックルだった。


「さすが近衛だな。お前一人がいるといないでは戦局は大幅に変わるだろう」


「そうかな?頑張るよ!!」


「お前はどうするんだ?」


「俺は…………これとこれですね」


俺が手に取ったのは太刀と槍。この二つ以外は全くしっくりこなかった。


「よし。今日からそれらを極めていくぞ!!」


「「「はい!!」」」

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