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緋色の眼を持つ少年  作者: カモメ
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緋色の眼の少年第七話

浩子さんは透さんを火が出らんばかりに、睨み付ける。

それを、いなす様に振り返りもせずに…


『良いじゃない。

江崎さんにでも、死産でした。

って…でも言って置けば…』


『な、永井の家の信用はどうなるのよ?』


『どうにも…ならないよ…もう…江崎さんの所は手遅れだから…』


『手遅れって…』


『良いかい?浩子姉さん…いくら…

犬の鳴き声に破魔の力が有るからって…

何でもかんでも、防げる筈は無いじゃないか。

江崎さんのお父さん…

そう…先頃亡くなった親父さん…


あの人の築いた財産…

あれを築く為に何人の人が家や家族を無くしたと思う。


因果って知ってるよね?

あれだけ、人を泣かせ…

邪魔な奴には容赦なく呪いを掛ける。


そんな…ろくでもない人生を送れば…

人生の終焉には物凄い苦しみが伴う事くらい

誰にだってわかる。


江崎さんの息子さんの和也さん…

彼は、親の因果が子に報い…

を地で行くかの如く気が触れたし。

次男の達也さんは、先天的に社会に疎いのか?

保証人倒れしてるじゃない。


もう…振りかかっている

災厄を、犬の鳴き声だけで…振り払える筈が無いじゃ無いじゃない?


人の祟りは七代祟って末代まで子々孫々に及ぶんだけど…


彼処の兄弟に嫁は来ないから

家は絶える。


だから…

江崎さんの家にチョコをあげても、災厄は払えない。

だから…手遅れなの…

勿体ないからチョコは、和美に預けるの?』


『透!!…あんた和美を…

跡継ぎにするつもり!?

永井の家を継ぐのは構わないわ!


でも…家業はアンタで終わりだと言わなかった?』


『言ったよ…

僕も和美に家業を継がせるつもりはない。


忘れてると思うけど、和美は僕と同じ血が流れてる。

あの憎んでも憎みきれない芳典と、僕の母親のね!


家の家業に拘り過ぎだよ浩子姉さん。


小学校五年生の男の子なんだ…

犬の一匹や二匹…

飼わせてあげなよ。』


一気に畳み掛ける様に浩子さんを、説き伏せた透さん。


チョコを飼える様に説得してくれたのは良いが…


永井の家業って?…




家業は百姓じゃないの?


僕の疑問を他所に浩子さんは、憤怒の形相から、あからさまに忌々しげな表情のまま…

自分の部屋へ入って行った。



その夜…僕は簡易ベッドの上で夢を見た。


チョコと追いかけっこをする夢だったが…

何故かチョコが捕まらない。


目が覚めた僕は…

少し…それが…気に掛かった。



夢見が悪かったせいか?

食欲が進まない。

ほうれん草の味噌汁に、

塩さば…産みたての生卵…味のり…

好物の高菜の油炒めもあるが、今朝は卵かけご飯に味のりだけで朝食を済ませた。

朝から三杯も食べた透さん…

食卓の上の残り物にラップを掛け…

食器を片付ける。

食器を洗いながら


『和美…マルに餌をやってくれ。

何時ものドッグフードに牛乳を混ぜてな…』


僕が餌の用意をしていると『マルが確り食べないとチョコに十分に乳が回らないからな…』


青のツナギに着替える透さんを横目に何時もよりも多目に餌を作りマルの鼻先に置いた。


急いで自分の部屋へ戻りランドセルを背負い元気に

玄関を開け…


『行ってきます。』と声を出すと

『ああ…気をつけてな…』

と、透さんの声でおくりだされた。

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