緋色の眼を持つ少年第三十五話
僕は瑞代ちゃんに全てを話す決心をした。
『瑞代ちゃん…実は僕の赤い左目には、人外の者も、現の者も見分けがつかないほどに、ハッキリ見えるらしいんだ。
僕が転校して…一月たった頃、まだまだクラスに馴染めず、かと言って積極的に仲良くもなれず。
左目のコンプレックスから、いつも…
俯いて歩いてた。
二週間程前だった。
あの白い洋館の前を俯いて歩いて下校してたとき…
あの洋館の二階の窓から声を掛けられたんだ。
声の主は田中美由紀さん。
多分…
瑞代ちゃん達が、いらっしゃいって声の主…
僕は美由紀さんの家に上がり
美由紀さんと話をした。
美由紀さんはね…
僕と同じ様に俯き歩いていた両目の赤い少年を、ずっと、待っていたんだ。
その子も僕の様に両目にコンプレックスがあったのか?
窓の下で美由紀さんと話して居たらしい。
どうも…
美由紀さんは、僕とその少年を勘違いしている様で…
永井の家の門の前に迄やって来たんだけど…
マルが居るから入れなかったんだ。』
『どうしてマルが居ると入れないの?』
『叔父さんの話では、犬の鳴き声には破魔の力が有るんだって。
だから今日貰われて行った子犬達は、各家庭で魔除けとして貰われて行ったんだ。』
『ショコラも、そうなの?』
『多分まだ…破魔の力はないけど成犬になればね。
今も美由紀さんが、瑞代ちゃんの事を誰なのって、詰めよって来たんだけど
マルのおかげで美由紀さんは離れて行った隙にここまで逃げてきた。
いいかい?
瑞代ちゃん?美由紀さんは僕と両目の赤い少年とを勘違いしている。
美由紀さんは死んで念だけになっても彼を待ってたんだ。
そこに彼と勘違いをした僕が瑞代ちゃんを連れて現れた。
それで…僕らに詰め寄った可能性がある。
今日は力にはならないかも知れないけど…
チョコを預けるから…
犬は飼えなくても預かるってことなら大丈夫でしょ?』
二人で瑞代ちゃんのアパート迄歩いて来ていた。
瑞代ちゃんにチョコを渡したものの…
まだ不安そうだ。
『和美くんは大丈夫なの?』
『多分ね』と、足元にいつの間にか僕らの臭いをたどって来たのか?
マルがいた。
『何かあったら電話して…マルを連れて直ぐに飛んで来るから…
それと…くれぐれも、美由紀さんの事や僕の左目が人外の者を見てしまう事は二人だけの秘密だよ…』
二人だけの秘密…
それは、危険な響きでもあり…
甘美な響きでもあったのだろうか?
瑞代ちゃんはチョコを確りと抱き締めながらコクンと頷きアパートの中に入って行った。




