みっともない一撃
このまま、メッサーで切り掛かっても意味がない。
俺は刃に回ししていた神力を、柄に、体のほうは脳と脊髄以外は腕から先に回す。相手の攻撃は、柄だけで防御し、少しだけ押す。
河沙は、天兜がほとんどの腕に回した神力を見て少し武器に力を入れる。
その瞬間、メッサーに込められていた力が抜かれ、ほんの一瞬体勢がぐらつく。天兜は、その一瞬で最大の力で刃を河沙の体に押し付けるように切りつける。が、当たり前のように河沙は当たり前のように棒部分で防御する。
天兜にとっては、それが最大の攻撃だったようで、動きに隙ができる。
河沙は、それを見逃さず、神力を右足に多めに回した前蹴りが綺麗に決まり、天兜の体が3m吹っ飛んだ。
河沙は、あっけない終わりに少し落胆した。
戦闘能力は、新人隊員としては十分だったし、工夫はあったが、それだけだで、一発を入れるには至らなかった。やはり、宇田と比べると一段下だ。
そう思ったが、少し違和感があった。天兜は、神力を脳と脊髄に回すことでこちらの攻撃は、いなす事ができていた。わざわざ柄と腕に回した以上なにか仕掛けがないのであれば意味がない。
体に意識を向けている。少しだけ左肩にダメージが入っていた。
直接的な打撃が当たったのではなく、恐らく空撃だ。
瞬間少しだけ口元が緩んだのを自覚した。なるほどと。
剣を使うのであれば、本来空撃では無く空斬撃である。新人訓練の戦闘では、空撃や空斬撃は習うことはあるが、上位のセンスを持つものしか習得できず、できたとしても、自身の武器に合った方のみである。
そもそも、性質が若干違うため、両方習得するなんてのは、時間の無駄であり、教官は止めるだろう。
ならば、始めたやったのだ。それを一発で成功させた。
私はそれに気づき、驚愕した。
戦闘の総合力は宇田の方が一段上だ。だが、神力の扱いに関しては、天兜が間違いなく上だ。
私が受けた一撃は、見る人間が見たら、みっともない一撃だったかもしれないが、これは確かな可能性だ。
私は、実施部隊隊員として、5年戦ってきた。
ここ1年、自身の実力がのみ悩んでいる。他の四人は、次のステージへ片足突っ込んでいるのに。次なんて、元からわかっているのに足踏みをしている。天兜はさらに上のステージへ上がる才能がある。
「負けてられない。」私は、そうこぼした。
天兜を見る。間抜けずらで気絶しているが、血も吐いていないし、あとで救護室で治療さえすれば問題ないだろう。
メッサーを鞘に戻してやり、天兜を抱えて曹長への元へ戻る。




