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学校一の美少女はすでに俺が攻略済み!  作者: 宵月しらせ


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第8話 停電

「そっちは停電してる? してないの!?」


 彩紗は自宅に電話を掛けている。どうやらそっちは無事らしい。

 俺も親にメッセージを送ってみたが、停電はしていないらしい。

 ってことは、狭い範囲の被害のようだ。


「いつ復旧するかな? この雨と風だから、台風が通り過ぎるまではムリかな? どうしよう……」


 彩紗は暗いところがあまり得意ではない。夜寝る時も、明かりを完全に消すと逆に寝られなくなるタイプだ。


「え、お父さんが車で迎えに来てくれるって? う〜ん、どうしよう。電気がないなら、うちに避難しようかな?」


 そんな話が聞こえてきたので、俺は彩紗の手からスマホを取り上げた。


「こんにちは、理希です」


 電話越しにあいさつする。電話の相手は彩紗の母親。最後に直接会ったのは、結構前だ。

 ちょっと緊張する。


「天気が最悪なので、車でも移動は止めたほうがいいと思います。ここでじっとしてるのが一番安全です。俺がついてますから任せてください」


「なんだ、理希くんも一緒だったの。彩紗一人なら連れて来た方がいいと思ったけど、理希くんがいるなら安心ね」


 どうやら、彩紗は今日ここで俺と過ごすことを家族に言わないで来たらしい。

 ウソをついていたってことなのに、何も言わず、お泊りも容認で彩紗を任せてくれるとは……その信頼に応えなくては。

 停電が直るまで彩紗を支え抜くぞ。


 と決意したところで気付いたが、彩紗のスマホのバッテリーが残り二十パーセントしかない。

 俺のも残り三十パーセントを切っている。

 バッテリーを長持ちさせるためにはなるべく充電回数を少なくするのがいいらしく、ギリギリまで残量を減らすのがいいらしいが……台風が来ているような時は万一に備えてさっさと充電しておくのが正解だったのだろう。

 まぁ今さら言ってもしかたないか。


「彩紗、残りのバッテリーを大事にするために、片方の電源は切っておこう」


「う、うん、そうだね」


 ないとは思うが、もしもの場合は残っているバッテリーが俺たちの生命線になる。なるべく長持ちさせなくては。


「あっ!? ねぇ、停電の時ってトイレはどうなんだっけ? 使える?」


「水が流れるなら使える。ウォシュレットは使えないけどね」


「そっか、よかった……」


 暗闇の向こうから安堵の息が聞こえてきた。

 まぁ死活問題だよな。乙女としては。


「お風呂は? 水とガスが使えるならいける?」


「えっと……どうかな? お湯を沸かすのはガスだけど、点火やコントロールパネルの操作に電気使ってるんじゃないかな」


「あ、そっか……じゃあ今日はお風呂抜きか。電気はともかく、お風呂は先にお湯を溜めておけばなんとでもなったのに。迂闊だった……」


 彩紗が一歩後ろに下がる足音が聞こえてきた。


「どうしたの?」


「いや、なんか……お泊りなのに、お風呂に入ってないにおいを理希くんに嗅がれると思うと申し訳ないというか、なんというか」


「それはお互い様だし。っていうか、俺の方が申し訳ない」


「なにが申し訳ないの?」


「だって……自分ではわからないけど、臭いだろ、絶対」


「理希くんは臭くなんてないよ。むしろ落ち着くいいにおいをしてる!」


「そ、そうか」


 はっきりそう言われると、さすがに恥ずかしいな。


「理希くんに抱きしめられてるとすごく安心して幸せな気持ちになれるもの。だから、暗いところ怖いから、ぎゅってしてて」


「はい、わかりました、お姫様」


 そう言って、彩紗を後ろから抱きしめる。

 停電で忘れていたけど、直前はこうやっていたっけ。


 ……暗くてやることもないし、続きをしようかな?

 そう思って、彩紗の服のボタンに手をかける。だが、その手を止められてしまった。


「なんか気温が下がってきたような気がするんだけど」



「言われてみれば」


「だから、今は脱ぎたくない。っていうか、もっと着たいくらいなんだけど」


「…………」


 また何もできないのは残念だが、優先順位は温かくする方が高い。


「クローゼットに毛布をしまってたよな。それを出そう」


「一枚しかないよ?」


「まぁ二人でくるまればいいんじゃないか?」


「じゃあ結局たっぷりイチャイチャしちゃうね。やったぁ」


 ……本当に、うちの彩紗はかわいい。

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