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学校一の美少女はすでに俺が攻略済み!  作者: 宵月しらせ


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20/22

第20話 クリスマスパーティー

 ある日、学校に行くと掲示板に、赤を基調とした鮮やかなデザインのポスターが張り出されていた。

 そこにはこう書かれていた。


【三高合同クリスマスパーティー】


 と。


 開催日はクリスマスイブ。

 三高というのは、うちを含むこの近所にある三つの県立高校をまとめて指す言葉だ。

 どこも戦前から続く歴史があり、偏差値も割と高めなので、ある程度の敬意を込めてそうまとめられることがある。


 その三高でクリスマスパーティーを合同で開く?

 どういうことだろう?

 首を傾げていると、小野が通りがかった。


「坂城殿、おはよう。どうした?」


「いや、これ……」


 ポスターを指差すと、小野はその場で唾棄しそうな表情になった。


「ああ、これか……今年もこの季節になったか。まったく、胸糞悪い」


「“も”? 去年もあったか?」


「あったではないか。去年もこの時期に張り出され、一週間ほど掲示されていたぞ」


「記憶にない………………ああ、もしかして、インフルエンザで学校に来られなかった時期かな」


 去年の今頃、インフルエンザにかかって、治ったと思ったら別の病気にかかってしまい、しばらく休んでいたのだ。

 彩紗も同じだ。というか、彩紗は逆の順番で、後からインフルエンザにかかっていた。

 お互いに移し合ってしまったのではないかと思う。


「なんだ、そうだったか。では知らないのだな。この悪しき風習を」


 悪しき風習って……。


「たかがクリスマスパーティーだろ?」


「たかが? 今、たかがと言ったか、坂城殿。聞き捨てならんな」


「……小野って、リア充爆発しろ、とか言うタイプ?」


 爆発したくねぇなぁ。


「まぁリア充には思うところはあるが、このパーティーの問題はリア充うんぬんではない。このパーティーこそが、本校に蔓延る階級意識の根源のひとつになっている」


「……どういうことだ?」


「見よ、ここを」


 小野はポスターの下部を指差した。

 そこに書かれていたのは「参加の場合は、必ず男女二人一組のこと」の文字。

 なるほど、そういうことか。


「リア充以外出入り禁止、って行事か」


「うむ。まぁリア充以外クリスマスパーティーに行こうとは思わないかもしれないが、それを明文化してルールに組み込むとなると話は別だ」


「たしかに」


「こういうルールがまかり通ることこそが、仲の良い異性がいない者を格下と見做すのが当然、という風潮を根強くさせる原因と思わぬか? つまり、これこそが一軍二軍の――」


「一軍二軍がこっから来てるかはさておき、前時代的だよな。同性愛カップルは完全無視だもの」


「我が言ってるのはそういうことではないのだが……」


「しかし、俺としては百合カップルにも人権を与えてあげてほしい」


「むぅ、それはたしかに……いや、話が逸れ過ぎだ。とにかく、このイベントはとんでもないものなのだ。他校に友人を作るチャンスは、すでに交友関係が広いリア充にばかり与えられ、非リアとの格差はさらに拡大する。個人開催ならともかく、これを生徒会主導で行うとはどういうことだろう? 許されぬ暴挙と言ってもいいのではないか?」


 そう言われると、人脈格差を助長するのが目的と思うほどの話に思えてくる。

 きっとそのうち、小野だけでなくもっと多くの人が気にする問題になるだろう。

 今年はともかく、いずれ時代の流れに合わせてそのうち参加要件が変わるか、クリスマスパーティーの開催が中止されるかするだろう。


 それはそれとして、異性同伴という条件のメリットもわからないでもない。

 ナンパ目的でやって来て、クリスマスだからとハメを外して騒いで他校の生徒に迷惑をかけるやつは、必ずい現れる。


 本来は、そういうやつを締め出すための異性同伴だったのだろう。

 トラブル防止のために生み出されたルールが、階級格差というもっと大きな問題の温床になっているとすれば、ずいぶんと皮肉なものだ。


 小野とそんな話をしていると、その横を彩紗が通り過ぎた。

 ちらっとこちらを見て、それからポスターを見て、それからまたこちらを見て……何も言わずに通り過ぎた。


「見たか、坂城殿。今のゴミを見るような目。一緒に行く相手がいない者を見下す一軍特有の目だ」


「いや、全然そんな目じゃなかっただろ」


 彩紗は俺と小野の仲が良いことを知っているので、小野を見下すようなことはしたりしない。

 今のは小野の完全な被害妄想だ。


「一軍だからって、全員が全員、このパーティーに一緒に行く相手がいるわけじゃないだろ?」


「それは……まぁ。参加条件は、男女同伴と三高のいずれかの生徒であること。恋人が三高以外の生徒だった場合は参加できない。そもそも三年生は受験勉強が忙しいので、わざわざ学校行事になんて参加しないだろう」


「うんうん。ってことで、この話はこれくらいにしよう。このポスターの前でこんな話をしていると、行きたいのに行けないことに僻んでる人にしか見えないからな」


 小野の背中を押して、教室に向かってムリヤリ歩かせる。

 小野はまだぶつぶつ文句を言っていたが、まぁそのうち落ち着くだろう。落ち着いた後で、今の会話がそっくりそのまま黒歴史になっていないといいが……。

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