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学校一の美少女はすでに俺が攻略済み!  作者: 宵月しらせ


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14話 校舎裏

 十一月も後半になり、日に日に寒くなってきた。

 そんな中でもたまに温かい日がある。

 そんな日の昼休み、外でバドミントンでもしようかという話になり、借りたラケットとシャトルを持って小野と外に出た。


 なるべく目立たない場所でやろうということで、校舎裏に行くことにした。

 自転車置き場のさらに奥。特になにもない空きスペースになっている場所で、景観も良くないので、たぶん誰もいないだろう。


 ヤンキー漫画なら不良グループがたむろしてタバコでも吸っているのだろうが、うちの学校にそこまでわかりやすい不良はいない。悪いことするにしても、人目の多い学校は避けてコソコソ校外でやるくらいには頭が回るやつばかりだ。


 自転車置き場の横を通り過ぎ、あとはその角を曲がるだけ……というところで、先客を発見した。

 女子二人……なのだが、うち一人は彩紗だ。もう一人は、同じグループの友達。藤巻さん。

 何をしているのだろうか? 外で食事をしているってわけでもなさそうだが。


「坂城殿、どうする? 素人のレクリエーションのバドミントンを見られるのは少々恥ずかしい。今日はあきらめるか?」


 と、小野が弱気なことを言う。


「外で遊ぶなら今日がラストチャンスかもしれない。どんどん寒くなって、わざわざ外に出たくなくなるぞ」


「……うむ、たしかに。春までお預けはイヤだな」


 俺がそう言うと、小野も頷いた。

 何をやっているかは知らないが、特に用がないのなら、彩紗が藤巻さんを連れてどこかに移動してくれるだろう。


 俺たちは、彩紗たちの横を無言で通り過ぎ……ようとしたところで、藤巻さんが手を広げ、俺たちの進路を塞いだ。

 邪魔するつもりか? 感じ悪いなぁ……。


「なに?」


「しっ! 静かに」


 彩紗が口元に手を当て、しゃべるなとジェスチャーする。

 かわいい。


「どうしたの?」


「あれ見て。こっそりね」


 彩紗は俺たちに物陰に隠れるように指示した。それに従い、慎重に顔だけ出して奥の空きスペースを覗き込んだ。

 そこにいたのは、男女二人組。

 女子の方は、彩紗たちと同じグループの北見さん。男子の方は……たしか隣のクラスのやつ。名前は忘れた。


「好きです」


 と、北見さんの声が聞こえてきた。

 なるほど、告白か。青春だねぇ。


 それで、彩紗たちはなんでここにいる? 背中を押すために付き添いで来て待機しているのか、それともただ野次馬で来たのか。

 彩紗は胸の下で腕を組んで、北見さんの告白を聞いて「うんうん、よくやった。あれはすごい勇気がいるんだよ」と頷いている。


 俺たちの時は、彩紗から告白してくれた。

 相当の勇気を持って言ってくれたのはわかっていたが、二年近く経ってもそんな感慨深く思い出せるほどだったのか。


「むぅ、これはとんでもないところに出くわしたな……我々がここにいるのはまずいのではないか?」


 と、小野がつぶやく。

 たしかにそうだ。バレた場合、彩紗たちなら仮に許可をもらっていなくても、友達だから心配で……と言い訳できるだろう。


 しかし、俺たちはただの野次馬でしかない。言い訳できないので、何を言われるか……俺が言われるだけならまだいいが、友達が彼氏のことを悪く言うのを聞かされる彩紗は、きっとすごくツラくなるはずだ。

 別のところに移動しよう、と小野に言おうとしたその時だった。


「あ、やりやがった!」


 藤巻さんが少し大きな声で叫んだ。

 たぶんバレただろうから、すぐに逃げた方がいい。しかし、そんなに驚くほどの何があったのか?


 逃げるか、見るか……一瞬ためらった末に、好奇心が勝ってのぞいてみた。

 すると、北見さんが、相手の男にキスをしていた。

 

 え、ほんの数十秒前に告白したばかりなのに、もうキス? いくらなんでも早くない?

 俺と彩紗がそこまで進むのにどれだけかかったと思ってるんだ。

 

 キスは数秒ほど続き、北見さんが唇を離した。

 だが、すぐに男の方がキスを迫った。

 それから長く熱いキスが始まって……え、ここ学校だよな?


「うまくいったっぽいな。あたしらはもうお邪魔だろうから戻ろうか。お前らも、いつまでも見てんじゃねぇぞ。見せもんじゃないんだからな」


 藤巻さんがそう言って、犬でも追い払うように俺たちを遠ざける。

 そういう態度は少し腹が立つが、他人のキスなんて別に見ておもしろいもんでもないから、さっさとその場を去ることにした。


★★★


「ただい……」


 その日、アパートに着き、玄関を開けていつものようにあいさつをしようとした。

 だが、言い終わらないうちに、彩紗が俺の胸に飛び込んできた。

 靴を脱ぐ時間さえ与えてもらえず、そのまま唇を奪われた。


 いつにも増して、情熱的な求め方をしてくる。不思議に思いながらも、それに応じてあげる。

 何分かしてから、ようやく満足したのか唇を離した。


「おかえり!」


「……うん、ただいま。どうしたの、今日は。なんか変だけど」


「いや、なんか、友達がキスしてるところを見せたら、興奮しちゃったというか」


「……………………そう」


 彩紗が変な趣味に目覚めてしまったか?


「彩紗の性癖がどれだけ歪んでも付き合ってあげるけど、のぞき趣味はやめておいてくれ。もっと合法な範囲で楽しもう」


「そっちじゃないよ。のぞきに興奮したわけじゃなくて……えっと、自分に置き換えて想像してみたらってことで」


「ん?」


「ねぇ、理希くん。学校でキスしてるのを見て、どう思った?」


「よくするなぁ、って」


「それだけ? もっと思ったことない? 私たちって、いつもここでしかしないじゃない? たまには場所を変えて、違う気分でしてみたくない?」


「……そっちかぁ」


 まぁのぞき趣味よりはマシ…………か?


「合法なら付き合ってくれるんでしょ? キスまでなら、家じゃない場所でもセーフだよね? だから、どこか別の場所にキスしに行こ?」


「……あ~、うかつなことを言ってしまった」


 外でキスをすれば、誰かに目撃されてしまうかもしれない。

 彩紗のキス顔を見れるのは俺だけの特権なので、するのはここだけにしたい。


 ……よっぽど断ろうかと思ったが、我慢させて変にこじらせるとどう進化するかわからない。

 キスだけで済むうちに発散させておいた方がいいかな?

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