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次元転送(その8)

「ところで、ぱいせんの旦那はどこにいるのかな。鉢合わせはまずい」

 ミツオはぱいせんに聞く。ぱいせんは猫の仕草の練習なのか、前足でしきりに顔をこすっている。普段やり慣れていないせいか、人が両手で顔を洗い流す仕草になっている。猫は片手づつなのではと思いながらもそっとしておく。

「空港の奥にいる機体の操縦席にいるから大丈夫」

「宇宙船も操縦できるのか」

 驚くミツオに、当然のようにぱいせんが言う。

「言わなかったかしら。うちの旦那のハイヤーは宇宙船専門の運転手よ。あの機体も私が購入いたしました」「ぱいせんって、すごくお金持ちなのですね」

 ミツオはあらためて度肝を抜かれる。

 ミツオ達の乗るプライベートジェットは垂直に上昇したのち機首を徐々に上げ、成層圏を離脱する。

 宇宙に広がる漆黒の闇に一同驚嘆の声を上げる。

 前方に巨大なリングが見えてくる。あのリングを抜けると、一瞬で惑星スルメに到着する。

 次元転送がない時には、人工冬眠を用いて片道50年の時間がかかった話だ。

挿絵(By みてみん)

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