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おしまい(その42)
フタツ・ミッツは話を続ける。
「もう一人の私は、私よりも曲作りに長けていた。その部分が彼女を結果的に追いつめる事になった。ヒット曲をつくる重圧に耐えかねた彼女はギャンブルに救いを求めるようになってしまった。それと同時に自殺願望への呪縛にも苦しめられていた」
フタツ・ミッツは遠い目で外を見た。漆黒の闇にちりばめられた星屑の瞬きに目を奪われているようだった。
「そんな時に、事情を知ってか知らずか、広瀬から連絡があった。まさに悪魔のささやきだった。限界に達していた彼女は最後の注目を集める手段として、自身のラストステージの幕引きを決めた」
室内に重い沈黙が支配した。
漆黒の闇を切り裂くように緊急走行を意味する、青と白色の二色の点滅がランニングマンの周囲を取り囲むように飛来しつつあった。
館内スピーカーに三山刑事のダミ声が響き渡る。
「探偵!あいかわらずやってくれたな。そっちに行くから待っていろよ」
おしまい




