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フタツとミッツ(その41)
フタツ・ミッツとフタツ・ミッツが向かい合う。一人は黒猫の旦那。同じ姿の旦那にむけてフタツ・ミッツが話しかける。
「こんなことになってごめんなさい」
「どうして」
旦那は言葉を失う。
「才能の限界」
「あんたは才能にあふれている。こんなことで注目をあつめるのは間違っている」
ミツオは思わず口をはさんでしまった。そしてさらなる疑問をフタツ・ミッツに問う。
「狙撃されたれたのは誰だ」
フタツ・ミッツが遠い目で答える。「ギャンブル狂いで、歌声は私よりちょっとへた。でも、もう一人の私」
「どういうことだ」
ミツオの驚きを楽しむようにフタツ・ミッツが続ける。
「元々の私は、実体のない、歌を作る人工知能プログラムだった。あるとき、広瀬と名のる人物にささやかれた。お金があれば何でもできる」
一同は息をのむ。
「広瀬はきっかけを与えてくれた。まずお金だと。私は自分の歌を作る時に、過去に学習したデータベースから作曲エンジンを切り離した。自分で作り出した曲で動駆を二体作った。メンテナンス用の予備のつもりで用意した動駆だったのに、もう一人の私がコピーされてしまった」




