楽屋裏(その37)
広瀬は満足げに自分を撮影していたカメラを切った。広瀬のいる部屋はゾイサイトの船の一室。広瀬はゾイサイトの船に乗船していた。カメラには写っていない画角で広瀬を見つめていた人物が声を出す。その男の姿は赤一色。短髪の髪の色は赤、細身のスーツも上下とも赤。肌の色は雪のように白いが、唇だけは異常に赤かった。
「広瀬さん。おもしろい企画を提案していただきましてありがとうございます。今回のギャンブル。お客様の盛り上がりも、掛け金の売り上げも上々の盛り上がりです」
広瀬は気体の体で室内をゆっくりと歩き、椅子に座った。意味の無い行動だと広瀬は思っているが、会話を自分のペースに持ち込むには必要な演技と感じていた。
「ゾイさん。今回の功労者をお呼びしてもよろしいですか」
「そうでしたな」
ゾイは慌てた仕草で手足を大げさ動かす。ゾイは上機嫌だ。広瀬が奥の扉にむけて手をかざすと、扉は左右に開く。人影がたたずんでいる。美しいシルエットの女性が立っていた。その人物が声をだす。
「いろんな人を巻き込んでしまった。後悔は無いけれど、顛末の着地はうまくいくのかしら」
そこにいたのはフタツ・ミッツだった。狙撃された時と同じ衣装のままのフタツ・ミッツは広瀬の横の椅子に座る。テーブルの上にあった、多数の瓶から琥珀色の液体を選びグラスに注いだ。そして一気に飲み干した。




