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ゾイサイト侵入(その35)
電磁式カートは部屋の前で停止した。その部屋の無機質な扉が左右に開く。
「ここに入れということだな」
ミツオが足を踏み入れる。ちょっとした大きさの真っ白な部屋。以上なのは壁を覆い尽くす多数のモニターとキーボード。
「ここは通信環境が生きています」
エリーがつぶやく。
「嫌な予感しかしないな」
ミツオはモニター群を凝視する。その時、全画面が切り替わる。もやもやとしたガス体に光る目がミツオ達を見ている。その感情は分からない。
「広瀬!」
ミツオが叫ぶのと、扉が閉まるのは同時だった。
「ゾイサイトにようこそミツオ君。これで駒が出そろいましたよ」
「どういうことだ」
ミツオは困惑を隠しきれない。
「お楽しみの賭けの時間となりましたということです。ちなみに、君たちに、個人的な恨みがあることは否めません」
「そうだろうな」
「ですから、ゾイサイトに提案したのです。賭けの対象として、着せられた濡れ衣を自らの手で晴らすことが出来るのかというギャンブルです」
広瀬が得意げに言葉を続ける。
「その部屋にはロックをかけさせてもらいました。白黒つくまで出ることはできません。そして、あなた達の掛け金は自分の命です」




