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ゾイサイトの本拠地(その33)
本体から切り離されたフリーズ号がゆっくりと動き出す。
「乗客の皆様、シートベルトをしっかりと装着され、しばしおとなしく座っていてくださいね」
サングラスを装着した旦那がご陽気に声をかける。
ミツオとエリーはシートベルトと呼ぶにはあまりに多いハーネスで体を固定していく。
フリーズ号の姿勢は、ロケットが発射されるように真上に向いていく。微調整の姿勢制御が完了した。その直後、船外の景色は、熱したバターの様に真下に溶けて流れ落ちる。空気の層を抜ける摩擦熱が燃えるような色を一瞬発した後、重力が消えた。「皆様、無事、宇宙空間に出ることが出来ました。目の前に近づきつつある、あの船が賭場であり、ゾイサイトの本体でもあります。その船は深紅の人型。特徴的な外観からランニングマンと呼ばれています」
ミツオが慣れない無重力に苦労しながら、操縦席の後ろからのぞき込む。
「ゾイサイトのサーバーは宇宙に置いてあるのか」
「そうです。防犯の意味もあるようですが、神出鬼没。まさに宇宙を走り回る賭場です




