対峙(その31)
神崎警部補はさらに声をかける。
「お話を伺うことはできませんか。この船は地球管轄で登録されているはずです。私達にも権限はありますよ。もしかして、どこかでお会いしたことありませんか」
「どうですかね。でもそちらがおっしゃることにも一理ある。いいでしょう。いまゲートを開けますのでどうぞお入りください」
ミツオの言葉に室内の一同が口々に話し出した。
「どうするんですかミツオさん」
焦る一同を制して、自分が思う作戦を冷静に伝える。
外の二人はゲートのロックが解除されたことを示すグリーンランプの点灯を見た。
「開いたね」
「そうですね」
静かにゲートが開く。
船内に入った二人の前に紙袋をかぶった姿の人物が登場する。驚きながらも神崎警部補は感じた違和感を口にする。
「ご本人ではなくホログラム映像で相手をしていただけるのですな。なおかつ顔は見せたくないということでよろしいですか」
「そうです」
業を煮やした三山刑事が声を荒らげる。
「どこかで聞いた声だと思いながら下手に出ていたら、ふざけた立体映像で登場しやがって、紙袋をかぶっていてもミツオそのまんまじゃないか」
「ミツオ?そんな人は知りません」
シラをきりながらミツオは話を進める。
「お二方には残念なご報告がございます」
「おう?なんだ馬鹿野郎」
三山刑事が身構える。
「実は船外と船内をつなぐゲートのドアが不調なのです。船内に入って頂きましたが、ゲートの開閉が出来ない状態になっております。修理が完了するまで船外に出ることはできません」
剣崎警部補はぎくりとした表情をうかべて固まる。
「至急、修理をいたします。しかし、自由に船内を歩き回られるのも不用心でございますので、もう一枚扉を閉めさせて頂きます」
エアーの音が響き、新たなドアが一枚閉まる。神崎警部補と三山刑事は閉じ込められた格好になった。
「修理が完了する時間はおよそ半日ほどかかります。ご了承ください。まことに申し訳ございません」
立体映像のミツオは唐突に消えた。
「おい、待て」
焦る三山刑事を制して、神崎警部補がその場にごろりと寝転んだ。
「やられたな」




