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急行(その20)
空港に三人がたどり着つくのに要した時間は一時間。あの混乱を考えると驚異的な早さだ。
ぱいせんの行動力は凄まじかった。スタジアムを一歩出たその場所には車がいつの間にか用意されていた。治外法権を利用した外交官特権という類いのものを駆使したらしい。ノンストップで空港まで移動することができた。
「ぱいせん。やっぱりあんたやるね」
ミツオはハイヤーの道中で率直な感想を述べた。
「そうでしょう。能ある猫は爪を研ぐってね」
「そうね」
エリーは、ぱいせんのギャグを愛想笑いで、受け流していた。
「旦那は宇宙船の中から、動駆である体を動かしているということなの?」
エリーは興味津々でぱいせんに聞く。
「本体は冬眠状態だから、意識を仮に動駆に移している格好になる。本体に意識を戻すには、強制的に冬眠を解除する必要がある」
「当局があの宇宙船に到達しているかどうかがポイントだな」
「そうね。拘束した人物の素性が分かれば即、捜査が介入した場合、私たちが冬眠状態の旦那の部屋に行くことは難しくなると思う」
ぱいせんが険しい表情でミツオとエリーの目を交互にのぞき込む。




