提案(その18)
無限とも思える静寂を破ったのはミツオだった。
「ぱいせん、旦那がこんな事をしでかす心当たりはあるのか」
「心当たりなんて無いし、旦那が大それた真似をするはず無い。ギャンブルには依存していたかもしれない。でも、フタツ・ミッツさんは恩人だといつも言っていた。本当にこれはなにかの間違いなのよ」
ミツオは黙っている。
そんなミツオを見てエリーが問いかけた。
「旦那を本当に見たの」
「ああ、見た」
ぱいせんがミツオを問い詰める。
「今日は旦那と飲んでいたの」
「そうだ。あいつの行いを一喝してきた。ただ不思議な事も言っていた。ゾイサイトでのギャンブル中、意識を失う事があると」
「そうなの」
ぱいせんは初耳のようだ。ミツオは続ける。
「ゾイサイトを始めたのはフタツ・ミッツに誘われたのがきっかけらしい。そしてフタツ・ミッツには秘密があるとも言っていた」
ぱいせんとエリーは身を乗り出してミツオの言葉を待っている。
「フタツ・ミッツにはゾイサイトにとんでもない額の負けがある。今夜未明、ゾイサイト主催で行われる秘密の賭場が開かれる。旦那はライブ終わりのフタツ・ミッツと一緒に返済への勝負をするということになっているらしかった」
「どうして黙っていたの」
ぱいせんがミツオに詰め寄る。
「どう伝えるか考えていた。とりあえずライブ中はフタツ・ミッツは間違いなく目の前にいるとも思っていた。もしかするとゾイサイトと今回の事は大きく関係があるかもしれないとも思う。そこでぱいせんに相談なんだが……」
ミツオはぱいせんの耳元で何やらごにょごにょと話している。




