旦那の驚き(その17)
「船長、さっきまで俺と飲んでいたのに、今どこにいる」
ミツオの剣幕に驚きながらも船長は返答する。
「あの後は、明日の整備の仕事に差し支えてはいけないと思ってホテルに帰りましたよ。だから、今ホテルの部屋にいます」
「フタツ・ミッツがライブ中に狙撃された」
「うそだ」
船長は声を失っている。
「安否は不明。そして俺は狙撃犯を見た」
「どんな奴でしたか」
「とぼけるな、お前だろ」
エリーとパイセンはミツオの言葉に息を飲んだ。
船長の酔いが一気に覚める。
「私ではありません。だってミツオさんと別れた後、ホテルの自室にいます」
「じゃあ、俺が見たのは誰なんだ。狙撃銃を手にしたお前を見たんだぞ」
「信じてください。仕事を頂いている恩人をどうして私が殺すのですか」
「あんた、何やってるのよ」
ぱいせんが口をはさむ。
「お前、ミツオさんと一緒なのか」
「そうよ、しかもライブ会場にいて、一部始終を目撃した」
泣きながらぱいせんは叫んでいた。「違う、信じてくれ。ぐわっ」
船長の部屋で爆発音がこだました。混乱する複数の声がスピーカーから聞こえる。
「手を頭の上に置け、早く」
「お前達はだれだ」
「フタツ・ミッツ狙撃犯の容疑者として、お前を拘束する」
「違う何かの間違いだ。俺じゃない」
ブラック船長の絶叫の後、通話が終了した。
ホールの階下では今まさに担架に乗せられてフタツ・ミッツが医療施設に運ばれていく。




