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確認(その15)
「そこにいろ」
二人に声をかけてミツオは部屋の外に走り出た。弾道から考えるとちょうどこの辺りに犯人がいてもおかしくはない。近くにあった従業員用の扉をあける。ケーブルが張り巡らせれた階段を駆け上がり、ドーム内部へと繋がる扉を押し開ける。客席を見下ろす位置にある、空調の点検通路に出たミツオは辺りを見回した。突然の出来事に、何万人もの観客はパニックに陥っている。逃げだそうという恐怖の声がドーム内に響き渡る。
ミツオの立つ位置と同じ高さにある点検用の通路。ミツオとは離れた位置にそいつはいた。犯人らしき人影がはっきりと見えた。ミツオは声を失う。慌てる様子もなく、ゆったりとした動きで立ち去るその人物はブラック船長だった。
「どうして」
ミツオは走り出す。
もどかしいことに通路は繋がっていない。2mほどの距離が開いていた。ミツオは走る。そのまま腰の辺りにある手すりにジャンプして左足をかけて、2m先に飛ぶ。宙を飛ぶ間は永遠に感じられた。向こう側の手すりに両手でぶら下がる。足下の客席までには10mほどあるだろうか。懸垂の要領で上半身を持ち上げ、ブラック船長が先ほどいた通路に転げ落ちる。
立ち上がったミツオが顔をあげる。ブラック船長の姿は消えていた




