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遅れた主人公(その13)
フタツ・ミッツの言葉を聞いて、ぱいせんは真剣な顔でエリーの顔を見た。ぱいせんが口を開くのをさえぎるように慌ててエリーが言う。
「何を言っているのかしら。それよりライブまでは時間もあるし、バックヤードを探検しましょう。何より席はペット同伴可のVIP席なんでしょう」
ぱいせんはよくぞ言ってくれたとばかりに声のトーンが上がった。
「そうなの。私の交渉のたまもの。すばらしいプラチナ席をゲットすることが出来ました。私を褒め称えてください」
ぱいせんは上機嫌だ。
時間はあっという間に過ぎ去った。ぱいせんとエリーはガラスに仕切られた席で会場を見下ろしていた。ステージが始まる時間が迫っていたが、ミツオの姿はそこには無かった。二人はいらいらしていた。
背後の扉が開いてミツオが走り込んできた。
「遅い。何をやっていたの」
二人の罵声は驚くほどそろっていた。
「悪い。野暮用でね。ヒーローは遅れてやってくるものと相場がきまっているのさ」
ミツオの軽口をぱいせんとエリーは完全に無視する。




