エリーの秘密(その12)
エリーとパイセンは海中ドームスタジアムに到着する。ドームの天井はしまっているのだが、海の中が見える、シースルーの天井になっている。二人はスタッフチケットで入場したあと、ステージの裏へと進む。
「ちょっと大丈夫ですか」
エリーはぱいせんの指示のもと、奥へ奥へと扉を開けて進んでいく。
「大丈夫。AIミツオを通して、事前の打ち合わせは十分経ているから、私たちのことも話をしてあるし、道順も分かっている。任せて」
ぱいせんは自信たっぷりに、小さくニャーと鳴いてみた。
ふいにとんでもないオーラをまとう人物が扉から現れる。ゴールドのステージ衣装を身にまとったフタツ・ミッツだ。エリーに抱かれるぱいせんを見つけたフタツ・ミッツは黄色い声を上げる。
「きゃー、にゃんこちゃんも私のライブ聞いてくれるの。うれしいにゃー」
フタツ・ミッツはぱいせんの額から喉をなでまわす。
「猫、お好きなんですね」
「そう。わたしにもにゃんこちゃんがいるの。今夜はお留守番だけどね」
フタツ・ミッツはライブへの緊張を感じさせる雰囲気はあったが、すごくうれしそうだ。
「今夜、がんばってくださいね」
エリーが思わず握手を求める。
フタツ・ミッツは気さくに握手に応じる。握手が交わされた瞬間、フタツ・ミッツが真剣な表情で口を開いた。
「あなた、動駆じゃないのね」
エリーはドキリとする。
「余計な事言っちゃって、ごめんなさい。楽しんでね」
フタツ・ミッツは颯爽とどこからか現れた多くのスタッフに誘われてステージの上へと消えていった。




