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自由(その11)
パイセンは、晴れてゲージから出て自由の身となる。それでも周囲の目をかんがみてパイセンはエリーの腕の中に収まっている。
「自由って素晴らしい」
ぱいせんは自分の足で歩かなくてもよいという状況をいたく気に入っているようだった。
「ミツオさんの仕事は具体的には何をしたらよいのですか」
エリーは心配になってぱいせんに聞く。ぱいせんはキョロキョロと興味深げに辺りを見回しながらエリーの首元まで這い上がり、小声で答える。
「もう済んでいるの。事前リモート会議で私が作ったAIミツオにしこたま発言させてあるから、大丈夫。ライブ当日はあくまで参考出席みたいな感じなので、特にやることはない」
エリーは少し安心した。
「お金持ちって余裕があるのね」
「世の中ってそういうものなのよ」
海の中に張り巡らされた巨大チューブの中を移動する。沢山のスルメ星人が歩いている。人型のイカだ。
どのスルメ星人もエリーとぱいせんに挨拶して行き交う。どうやら友好的な気質らしい。海中ホテルにチェックインはしたが、今夜はライブなのだ。タクシーに乗り換えて、海中を進む。わくわくしながらライブ会場へと二人は移動する。




