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説教(その10)
「ブラック船長の本体、黒猫は今どこにいる」
ミツオは煙を吐き出しながらブラック船長に問う。
「ブラック号にいます。長い眠り、コールドスリープで維持されています。意識は動駆側にすべて収まっているような状況です」
「そうか。ところで、潤沢な資金を贅沢にお使いしているように見受けられるが、何か後ろめたいことをしている自覚はないかい」
ミツオは声のトーンを落としてブラック船長の目を見る。動揺している瞳をそらしながら返答する。
「なにもありませんよ」
「ここに俺がいるのが偶然だとでも思うのか」
ミツオの核心へとつながる言葉に観念した船長が天を仰いだ。
「ぱいせんの依頼ですか」
「そうだ、心当たりあるだろう」
船長は手にしている端末をケースにしまった。
「少しお話し出来ませんか。ミツオさんにはあのとき世話になりました。私もどうして良いのか分からないのです」
「なにがあった」
「意識がゆらぐのです」
ミツオとブラック船長は海底へと続くエレベーターに乗り込んだ。




