世界大戦
プロトタイプ?的なものです。カクヨムでも、投稿するかも?です
眼前に、広がる凄まじい熱気。天からの、光が、こちらに降り注いでいる。耳が、鼓膜が割れんばかりの轟音。
私は、それを、望んでいた。待ちわびていた、そこへ一歩、足を踏み出した。私が、姿を現すとより一層の、熱気と音が湧き上がる。
「いっくよーーー!!」
私は、叫び、そして―――――――。
♢
眼前に広がる、死屍累々の数々。天から、降り注ぐ銃弾と、焼夷弾によりそこは焼け野原と化している。
鼓膜を、劈く激しい大砲の音。
私は、それを、崖から見下ろす。待機していた、そこの場所から一歩、足を、踏み出した。重力に従うままに、地面へと、向かう。
《システム起動。出力30%。武装、限定解除》
地面、すれすれの所で、私は飛行を開始した。そうして、私が姿を現すと、より一層銃撃が激しくなり、熱気と音が、沸き上がる。
「いくぞ、作戦開始」
私は、戦い、そして―――――――。
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世界大戦。それは、帝国による、帝国軍と、王国を中心とし幾つもの国々が、一つとなった合衆国軍。その、2つの勢力による戦い。
原因は、とある鉱石と、その他の様々な自然物資。それを、巡り争っている。戦争が、始まってから、2年位経った頃、合衆国はとある兵器を、開発した。
戦闘自律人形
それは、完全無人。人が、乗り込む必要もなく、ただ機械に、命令をだすだけで、戦う。
これにより、合衆国は、死人を大きく減らし、人間の部隊は段々と、姿を消していき、戦場は鉄屑だらけになっていった。
帝国は、これに対抗する為―――――。
☆
「お疲れ様です! 隊長!」
「あぁ、お疲れさま」
小さな少女が、明るい声色で話しかけてくる。この少女は、私の部隊の一員である。
「隊長、お腹減ったし、ご飯食べに行きません?」
「作戦、終わったばかりに、よく食べれるね……。先に、食堂行っててくれる? 私は、報告書作ってからいくから」
「了解でーす。先に、行って待ってますからねー!」
身体を、振りながら走り去っていく。彼女の溌剌さには、救われるものがある。特に、こんな今の世の中じゃ、なおのこと。さっさと、報告書を書いて食堂へ向かうとしよう。
「テメェ、足引っ張ってんじゃねぇぞ!!!」
自室へ、向かう途中にある、用具室から物が倒れる音と、怒りをあらわにした激しい声が、聞こえてくる。声は、一人ではなく、複数人がいるようで、1人が喘いでいるのが、分かる。
辺りを、見回しても、誰も反応していない、しようともしていない。中に、いるのはそんな高官な奴なのだろうか。
取り敢えず、扉を開ける。中は、暗く廊下の光によって、人影が、見えるものの顔までは、分からない。
「誰だ!!」
部屋に入り、電気をつける。ここの、部屋の構造は頭に入っている。
暗闇から一変し、光に包まれる。網膜を、一瞬焼かれまぶたを、閉じる。すぐに、それは回復し目を開く。
「エリカロード少佐、何をしておられるのですか」
「って、何だ、人間風情の鉄屑じゃない。テメェこそ、何しにここへ入ってきやがった?」
「苦痛に喘ぐ、声がしたもので」
少佐が、距離を詰め胸ぐらを掴んで、私を投げ飛ばそうとする。少佐の、掴んでいる手を軸に足を、振り子のように、振り上げ、身体全体を上に上げ、足で少佐の頭を、叩く。
手を、離され空中に自由になった私は、猫のように、背をひねり、クルッと回転し着地する。
少佐は、白目を剥いて、泡を吹き気絶している。取り巻きどもは、その光景を見て、唖然とし、口を、開けている。
虐められていた子に、近づく。身体を注視すると、頭に切り傷、全身に打撲痕、爪もボロボロ。
しゃがんで、目を覗くも、そこに光は宿っていなかった。
「大丈夫……じゃないね。一緒に行こうか」
その子の、手を引くも反応がない。まるで、縫い付けられているかの如く、動かしても頑なに拒否される。
その子の、頭を支え、足の方に手を入れて持ち上げる。体重が、感じられないほど軽く、より近くで見ると様々な傷が見て取れた。戦場では、つかないような、傷跡も見受けられる。
抱きかかえられたので、その子は抵抗することも、出来ずただ私に、身を任せていた。
用具室から、出て私は医務室に向かった。報告書なんて、後で、書けばいい。
☆
医務室へ、運ぶとすぐさまに、治療が始まった。治るのには時間はかかるが、元気になってほしいなと思う。
そのまま、食堂へと向かうと、人で溢れていた。ここは、戦闘員だけではなく、科学者や整備士など、様々な者たちが、利用する。席が埋まりきっているのか所々、立ち食いしている人も、見受けられる。
「! 隊長〜〜!! ここでーす!」
人に、埋もれて分かりづらいが、頭がぴょこぴょこして跳ねている。どうやら、2人分の席を、確保できたらしい。人の隙間を、うまいこと縫い、少女―――SKの元へたどり着く。料理は、既に置かれており、予め頼んでおいてくれたのだろう。
「よく確保出来たね。大変じゃなかった?」
「大変でしたよ〜。にしても、今日何でこんな人多いんです? いつもは、人少ないのに……」
「明後日は、確か……皇帝の誕生日。それに伴う、セレモニーもあったはず……」
「えぇ!! って事は! 帝冠祭が、あるってことですか! えぇー行きたかったー」
SKが、残念そうな顔をしてしょぼくれている。私達のオフは明日で、明後日は戦場だからだ。
「しょうがないでしょ。それに、戦争を、終わらせれば自由にいけるよ」
「そうですけど。ねぇ、隊長。本当に、戦争終わるっすかね? 私達の手で……」
「終わらせるよ。絶対にね」
手を合わせ、礼をし、食事に手をつける。私の静かな覚悟は、周りの喧騒にかき消され、ただ一人SKだけに届いた。