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chapter 1: Use What I Got

よろしくお願いします。

とある小国の軍事企業が、画期的なジェットエンジンを開発した。

驚異的なパワーで圧倒的な加速力を誇り、操縦性にも優れ、低コストで作れるこの新型エンジンを搭載した戦闘機は、大きな既存の軍事企業を持たない小国の間で流通し、それまで2つの大国家が対立しながら支配していた世界を一変させた。

新型戦闘機を導入した小国たちは、互いに手を組み共同体機構「アース・ユニオン(EU)」を結成し、世界は2大国家vsアース・ユニオンという3つの経済圏が対立する構造となった。

ユニオンは、その後、世界の理想として地球上から国家を廃絶することを掲げた。

そもそも国家などという枠組みは前時代のものとして、国境のない社会で人びとは生きるべきだと、世界の未来像を定義し、軍の廃絶を謳ったのだ。

つまり2大国家はユニオンに吸収されて国境をなくし、世界はすべて一つになるべきだと宣言した。

もちろん、2大国家(ネーション)はこれをユニオンの支配として反発し、ユニオンに対して軍事的な対立を深めた。

皮肉なことに、ユニオンは、軍をなくしたいはずなのに、軍を強化せざるを得なくなったのだ。

脆弱だった軍を強化する必要に駆られたユニオンは、その増員を図り、さらに軍のイメージを根本的に変えたいと考えたユニオンの政治部は、軍人に優秀なゲーマーを採用した。

そんな新しい時代に、ルアン・オルチスとアマンダ・ガスパルは、他のゲーマーたちと一緒に軍へ入隊した。

上層部は、体の小さい彼らは戦闘機乗員として優れている、として低身長の若者たちを積極的に採用したが、体力で劣る彼らを、現場の軍人たちは見下した。

「ゲーマーは、だらしねえな」

屈強な彼らは、ゲーマーたちの訓練の様を見ていった。

自分たちのテリトリーを犯してくる新種に対して、反発するのは世界共通の考えだ。

それはユニオンでも、既存国家主義国(ネーション)と同様だった。

「オマエら軍人なんだから、強いのは、あたりまえだろ。筋肉バカが! ユニオンの方針なんだから、ちゃんと優しく接しろや!」

ルアンは心の中で毒づいたが、口には出さなかった。

そんな彼らに、アマンダがいった。

「すいませ~ん。アタシらゲームばっかやってたんで、激ヨワなんです~。長い目で見てやってくださいよ~」

「まあ、せいぜい頑張れや」

軍人が去っていくのを見計らって、ルアンは彼女に話しかけた。

「おまえ、コミュ力あるな~」

「アンタ、顔に出過ぎだよ。モロに出てんじゃん」

「だって、ああゆうの嫌いなんだよ」

「アタシだってキライだよ。当たり前じゃん。ちょっと先輩だからってエラソーな顔してさ」

「だよなあ」

「でも、アンタも要領よくやんなきゃ。攻略法わかってんのに使わないのは、コスパ悪いでしょ」

それから2人は、よく話し合うようになった。

「オレ、ゲームばっかしてて不登校だったんだ。暗いからイジメられてたし…」

「へえ。アタシは学校には行ってたけど… じゃあ、試験ムズかったんじゃない?」

「勉強はしてたから」

「へえ。すごいね。なんで応募したの?」

「他に行くトコないから…」

「アタシは面白そーだから。ネットで募集見たときは、くそステマかと思ったけど、ガチ話で得したわ」

軍人たちの中で浮いていた2人は、励まし合いながら訓練をこなしていった。

ゲーマーたちは戦闘機シミュレーターに乗り、相手を撃墜した。

コンピューターのシミュレーションだけでなく、ゲーマー同士でも対戦した。

その中で、ルアンとアマンダはトップの成績を収めた。

軍人たちも、2人には敵わなかった。

その2人に、軍人たちは脅威を感じた。

「実戦は、シミュレーターとは違うぞ!」

「体力なしのクソ弱ゲーマーだろ?」

そういって軍人たちは、プライドを保とうとした。

しかし、彼らは若かった。

毎日の訓練をこなすうちに、だんだんと筋力をつけ、軍人ほどではないにせよ、戦闘機乗りとして十分な体を持つようになった。

もちろんゲーマーの中に脱落者は居たものの、ルアンとアマンダは耐えた。

そして、彼らは実際の戦闘機に搭乗し、訓練を重ねた。

模擬戦でも、彼らは軍人たちから勝利を収めた。

そして、とうとう戦場に投入された。

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